『友近サスペンス劇場』大ヒットの理由は? 若い世代から支持されるワケ。作り手が語る制作の極意。参考にした意外な番組は?
「三方よし」の地方創生コンテンツ
―――『友近サスペンス劇場』は、すでに複数のイベントで上映されていますが、観客の反応はいかがですか。 「かなり良かったですね。特に9月21日に大阪で行ったイベントでは、会場が割れんばかりの爆笑が起こりましたから」 ―――それは最高の反応ですね。 「ですよね。その時、はじめて『友近サスペンス劇場』は観客の皆さんのツッコミや笑い声が加わってはじめて完成するんだ、と直感しました。 それに、9月8日に、作品の舞台となる今治市の合併20周年を記念する『いまばり映画祭』というイベントで上映したんですが、そこでも本当にたくさんの方に楽しんでいただきました」 ―――やっぱり地元の方に喜んでいただけると、制作した甲斐もありますよね。 「そうですね。特に、今回の作品は、ストリップ劇場の観客や『坊っちゃん団子』の団子屋の店員さんなど、現地の方にエキストラとして出演いただいているので、特に思い入れが強いですよね。 また、今回の企画では、出資してくれた地元企業のCMを僕たちが作ってドラマの間に挟み込んでいるんですが、紹介した商品の売り上げがかなり上がっているみたいで、スポンサーさんもかなり驚かれていました。 なので、今回の企画は、制作者や視聴者のみならず、スポンサーさんも満足できる『三方よし』の企画だったのかな、と思っています」 ―――地方創生の起爆剤になりそうですよね。 「そうですね。このフォーマットを活用すると、大河ドラマや朝ドラと同じように作品をハブにした地方発のブームも生めるかもしれないですね」
「フィルムエストTV」の未来
―――『友近サスペンス劇場』以外で西井監督がおすすめする作品を教えてください。 「一番のおすすめは、7月に公開した『水曜いかがでしょう』ですね。ただ、これはどちらかというと玄人向けの内容なので(笑)、『フィルムエストTV』初心者の方は、『テレワーク』シリーズや『タピオカ抜き騒動』がおすすめです」 ―――ありがとうございます。最後に、今後の展望を聞かせてください。 「まずは、『友近サスペンス劇場』で再発見した2時間サスペンスのフォーマットを、いろいろな地方で援用したいですね。あとは、ゆくゆくはチャンネル設立の目的である映画や、縦型ショートドラマも作っていきたいと思っています。 それから、『友近サスペンス劇場』で、外波山文明さんをはじめとする劇団員の演技力の高さを知りました。なので、今後は、演劇の方ともご一緒していきたいと考えています」 ―――「フィルムエストTV」の出演者で劇団が結成できると面白いかもしれないですね。ありがとうございました。 【西井紘輝(にしい・ひろき)プロフィール】 1994年兵庫県神戸市生まれ。関西大学社会学部卒業。2014年からYouTubeチャンネル「フィルムエストTV」を主宰。映像作家「にしい」として、現代の事象を昔の価値観で解釈・表現する〝アナクロ映像〟を考案し、多数制作。近年では、バンド「礼賛」のミュージックビデオ制作を手掛けるほか、友近主演の長編サスペンスドラマ『道後ストリップ嬢連続殺人』では脚本・監督を務めるなど幅広く活動中。
司馬宙