『友近サスペンス劇場』大ヒットの理由は? 若い世代から支持されるワケ。作り手が語る制作の極意。参考にした意外な番組は?
80年代関西ローカル番組の爆発力
―――「フィルムエストTV」の設立の経緯を教えてください。 「2014年に、僕が所属していた大学の映画制作サークルの面々で設立したのが始まりですね。 いずれ、みんなで映画を制作したいということで、『FILM』に英語の最上級の『EST』をつけました。割と適当です(笑)」 ―――「80年代の番組を再現する」というコンセプトは、チャンネル設立当初からあったんでしょうか。 「最初は、YouTubeやバラエティを模倣した動画をあげていました。 転機となったのは、コロナ禍中の2020年ですね。『テレワーク』という言葉の絶妙な古臭さを気に入って、Xで『テレワーク』の昭和風ロゴをアップしたんですが、かなりの反響があって、そこから『80年代風のテレワークCM』を制作しはじめました」 ―――80年代テイストを再現するにあたり、参考にしている番組はありますか。 「80年代から90年代にかけての関西ローカル番組ですね。例えば、僕が中学生の頃から大好きな『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送テレビ・テレビ朝日系)。あと、ニュース番組では、関西人ならだれもが知っている『おはよう朝日です』(朝日放送テレビ・テレビ朝日系)も参考にしています」 ―――西井監督が考える80年代の番組の魅力は何でしょうか。 「製作陣が楽しんで番組を作っているのが、画面越しにも伝わってくる点ですね。 80年代は、肩に担ぐタイプのENGカメラが登場して、外で自由にロケができるようになった時代なんです。なので、作り手の遊び心や実験精神が端々から感じられるんですよ。 特に関西ローカルの番組は、その傾向が強くて、かなり爆発力がある印象です。道行く人に突然シャンプーしたりとか、とんでもない企画がありますから(笑)」 ―――今の地上波では確実にアウトですね(笑)。ちなみに、「フィルムエストTV」には、MBS毎日放送アナウンサーの福島暢啓さんや「昭和レトロなアイドル」増田樹乃さんなど、個性的なキャスト陣が出演されています。こういった方々はどのように集められたのでしょうか。 「基本的にはこちらからお声がけすることが多いですね。増田さんは、僕からSNSでDMを送り、出演を依頼しました。 福島さんに関しては、向こうから希望をいただいて、親睦を重ねるうちに実際にご出演いただくことになりました」 ―――俳優を選ぶ際の基準はあるのでしょうか。 「やっぱり、80年代のトーンに合うかどうかですね。ただ、基準はかなり感覚的で、言語化しづらいです。ただ、80年代の番組を繰り返し見ていると、なんとなく世界観に合う人と合わない人が分かってくるんですよね」