【インド】トヨタ、新工場建設を申請 マハ州と覚書、2千億ルピー規模
トヨタ自動車のインド子会社トヨタ・キルロスカ・モーター(TKM)は7月31日、西部マハラシュトラ州での工場新設に向けて、同州政府と覚書を結んだ。TKMにとって国内4つ目の工場となる。土地の取得を含め工場を一から建設するグリーンフィールド式で2,000億ルピー(約3,600億円)を投じるとみられる。ポートフォリオ(展開車種)の拡充や上位モデルの需要の増加、輸出拠点としての強化を見据え、大規模投資に動く考え。 TKMは31日、マハラシュトラ州政府に同州アウランガバードでの工場新設に向けた意向を申し入れ、覚書を結んだ。グリーンフィールド式で工場を建設する方針。市場動向を見極めながら、同州政府と詳細を詰め最終決定する。 マハラシュトラ州のデベンドラ・ファドナビス州副首相は自身のX(旧ツイッター)で、TKMの超大型事業は「(アウランガバードがある)マラトゥワダ地域経済のゲームチェンジャーになる」と歓迎。同社の提案に関して、▽投資額は2,000億ルピー▽用地は850エーカー(約3.4平方キロメートル)▽直接雇用は8,000人――と概要を明らかにした。 TKMは報道資料を通じて、「ポートフォリオの拡大とワールドクラスの製品への消費者ニーズの増加、輸出志向の高まりを背景に工場新設に向けた大規模な投資を検討している」と述べた。州政府との協議がまとまり次第、数年にわたって資金を投じる予定。 トヨタ自動車の広報担当者は31日、NNAに対し、「道路や港湾などのインフラ環境やサプライヤーのアクセスを考慮し、アウランガバードを候補地として選出した」と説明した。ファドナビス州副首相がXで公表した内容ついては、「回答を控える」とした。 ■26年には年産44.2万台体制 トヨタ自動車は今年1月1日付で、インドを「東アジア・オセアニア・中東本部」に統合し、「インド・中東・東アジア・オセアニア本部」として、同地域の戦略拠点に位置付けると発表した。TKMの吉村公一社長は、「きょうの覚書調印は、トヨタがインドでの成長の次なる段階に進む上で極めて重要な一里塚となり、インドと世界に向けた質の高いモビリティーソリューションの提供を後押しするものだ」と強調した。 TKMは南部カルナタカ州ビダディに本社を構え、敷地内に第1工場(年産能力13万2,000台)、第2工場(同21万台)がある。昨年11月に同敷地内に約330億ルピーを投じ、第3工場(同10万台)を建設すると発表し、完成を予定する26年にはビダディ全体で年産44万2,000台体制を築くことになる。 今回のアウランガバードで計画する工場は、TKMにとって4つ目の工場となる。用地取得が含まれるとはいえ、投資額が第3工場の6倍余りで、既存・新規の計4工場を合わせた全生産能力はかなりの底上げが見込まれる。