大西流星主演の映画『恋を知らない僕たちは』。酒井麻衣監督が明かす胸キュンシーンの撮影秘話
なにわ男子の大西流星を主演に迎え、人気少女コミック『恋を知らない僕たちは』を実写映画化。“本気の恋”に向き合う男女6人の高校生たちのリアルな姿を描き出します。主人公・英二を演じた大西くんをはじめとするキャストの魅力や作品に込めたこだわり、撮影秘話を酒井麻衣監督に聞きました。
まだ“本気の恋”を知らない6人のそれぞれの恋が動き出す
ーー本作は、高校生の男女6人のリアルな恋模様や友情、青春を描くラブストーリー。まずは、監督が感じた原作の魅力や実写化する上で大切にしたことを教えてください。 最初に原作を読んだとき、英二(大西流星)の親友である直彦(窪塚愛流)目線から物語が始まり、そこから英二を主人公として6人の高校生の恋模様が描かれるというところに新しさを感じました。不器用な高校生たちの恋愛の切ない部分がしっかりと描かれていて、言葉ではなかなか伝えづらいようなところも、原作の水野美波先生は絵とセリフで繊細に表現されている。また、原作は11巻あるのですが、ストーリー展開が思わぬ方向にいくおもしろさもあるんです。 映画化する上では、キャラクターそれぞれが自分の目の前の恋をとても大切にしているという原作の魅力を大事にしたいと思いましたし、映像でしっかりと伝わるように意識しました。脚本を作るにあたっては、脚本家の大北はるかさんと一緒に構成を考えて、原作の入れたい要素やシーンを6個ぐらいのブロックにまとめて、おいしいところをギュっと詰め込んでいます。絶対に入れたいと思ったのは、優しい言葉を掛けてくれた直彦に心を奪われてアタックする小春(齊藤なぎさ)とそれを邪魔する英二の距離が近づく8巻以降の展開や保健室でのシーン。それから、バンドマンの太一(猪狩蒼弥)の体育館でのライヴシーン。撮影もかなりこだわりました。 高校生の男女6人の恋を通して、目の前にある恋を正面から抱きしめる、という勇気をもらえる作品になっていると思います。見てくださる方にもその想いが伝わるとうれしいです。 ーー主人公・英二は、友情を優先し、好きな人に自分の想いをなかなか伝えられない高校生。演じた大西くんとは、役作りに関してどのようなお話をしましたか? また、大西くんの芝居で印象的だったことはありますか? 大西さんとは、MVなどで何度かお仕事をご一緒させていただいていて、ご本人の魅力もたくさんあるのですが、今作では大西さんと英二の近しいところを探すことはせず、原作の英二に沿って役作りをしていただきました。最初にお伝えしたのは「大西さんは英二の一番の理解者であり、親友となって、英二の隣にいてください」ということ。それから「親友である英二が、こう言ってるけど、心の中では本当は違うことを思っているということを全て理解して、大西さんが英二の変わりになって表現してほしい」とお話しして、原作を大事にお芝居を作っていただきました。 撮影現場での大西さんは、最大瞬間風力を叩き出す調整力がものすごかったですね。全力でお芝居に挑んだとしても、実力が出せるか出せないかは俳優さんによって違ってくるものなのですが、大西さんはいつも全力で、常に120点を叩き出してくるので驚きました。「英二ってこういう表情をするんだ」「こういうトーンで話すんだ」と何度も思わせてくれましたし、カメラが回った瞬間に英二の表情になる大西さんを見ているのは、感動でもありました。 ーー大西くんの他、メインキャストを演じるのは、英二の親友・直彦役の窪塚愛流くん、恋愛迷子系女子・小春役の齊藤なぎささん、英二の幼なじみであり直彦の彼女・泉役の莉子さん、一途で明るいバンドマン・太一役の猪狩蒼弥くん、恋を知りたい文学少女・瑞穂役の志田彩良さん。それぞれ役者としてどんな部分に魅力を感じましたか? 窪塚さんは、純粋にお芝居と向き合われている方。少しでも気になるところがあると、「大丈夫でしたか?」と聞いてくれたり勉強熱心なんです。天然で柔らかな雰囲気を持っており、役に深みをプラスしてくれたと思います。齊藤さんは、常に全力を出し切るタイプ。何度かご一緒しているのですが、いつもフルパワーでこちらの想像を超えてくるので、このエネルギーはどこからくるのだろうと感心させられますね。 莉子さんは、サバサバしていて、肝っ玉が据わっている方。地に足がついているのにピュアな泉を、ステキに演じてくれました。瑞穂に恋をする太一役の猪狩さんは、情熱的で明るい性格が太一にぴったり。バンドマンを演じるにあたって、ギターなど技術的にもすごく努力をしてくださったと思います。英二を意識し始める瑞穂役の志田さんは、ご一緒したかった俳優さんの一人。脚本の読解力もすごいし、現場にたたずんでいるだけでも映画の雰囲気を作り出せる方ですね。