米株の成長エンジンはガス欠に、投資家が2025年に迫られる脱ハイテク
ラデンバーグ・アセット・マネジメントのフィル・ブランカート最高経営責任者(CEO)は「大型ハイテク銘柄だけに投資するのはリスクが大き過ぎる」と指摘。「(大手ハイテクは)かなり高水準なバリュエーションで取引されているが、S&P500種の残りの部分を見ると悪くない。むしろ良いぐらいだ。私であれば予想PER18倍でS&P500種の残り部分を買うだろう」と語った。
こうした見方を示すのは同氏だけではない。モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏やBMOキャピタル・マーケッツのブライアン・ベルスキ氏も、株高の裾野は大型ハイテク以外に広がるとみている。
マグニフィセント・ワン
しかし、マグニフィセント・セブンがすべて同じと言うわけではない。半導体のエヌビディアだけは頭ひとつ抜けている。
AIコンピューティングに使用される同社製アクセラレーターへの旺盛な需要を背景に同社の業績は急速に拡大。ブルームバーグが集計したアナリスト予想では、エヌビディアの25年の売上高は52%増の1290億ドル、利益は49%増の710億ドルが見込まれている。
エヌビディアの成功の多くは、コンピューティング能力の強化を急ぐ他の大手ハイテク企業による支出からもたらされている。マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタの24年設備投資額は計2000億ドルを超えるとみられている。
各社は来年さらに多額の投資を行う方針を示している。エヌビディアにとっては素晴らしいことだが、投資家の間では、これらの投資がいつ報われるのか疑問視する声が出ている。
一方、特に経済が悪化した場合などには大型ハイテク銘柄は相対的に魅力だと語る声もある。シティグループの米株ストラテジスト、スコット・クロナート氏は、大型ハイテク銘柄を消費財のようなディフェンシブ・セクターに例えている。経済状況に関係なく消費者に必要とされるサービスを提供しているため、今のような先行き不透明な時期には安全な投資先ということだ。