【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:レビュー】悪天候で脱落する選手が続出するなかスティーブン・ウィリアムズが英国人初の勝者に
先行集団ではカルメジャーヌ、ミーンス、フアリスティが意地を見せたが、ついには集団に飲み込まれる。2度目のミュール・ド・ユイでは、前年の覇者タデイ・ポガチャルの欠場によってナンバーカード1番をつけた大本命マルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ)が脱落。さらにアムステルゴールドレースを制したイネオス・グレナディアーズのトム・ピドコック(英国)、リドル・トレックのマティアス・スケルモース(デンマーク)まで遅れた。 レースは残り46kmの時点でおよそ30選手しか残っていなかった。ここからはバーレーン・ヴィクトリアスのサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア)、EFエデュケーション・イージーポストのリチャル・カラパス(エクアドル)らがアタックを見せるが、残り15kmで最後まで抵抗を見せていたアルペシン・ドゥクーニンクのセーアン・クラーウアナスン(デンマーク)が集団に追いつかれ、勝負は4回目の最終ゴールへ。31選手が心臓の飛び出そうなほどの最大心拍数で激坂に挑んだ。
「道路にちょっとした障害物があって、みんながそこでスローダウンした。残り300m という看板を確認し、走行ラインを見てここでアタックすれば集団に5秒から10秒はつけられると思った」とウィリアムズ。 「勝利のチャンスが与えられたんだ。脚はわずかに余裕があったので少し様子を見ていたが、後ろが迫ってきていたので、粘った」
わずかに抜け出したウィリアムズは、最大のパワーでペダルを踏み続けると同時に追走する選手らとの距離を確認し、フィニッシュラインまで逃げ切った。失速ギリギリ、精魂使い果たしたかの表情で、わずかにウイニングポーズを取ったものの体力の限界で余裕はなかった。 「勝てて本当にうれしいけど、疲れた。言葉を失ってしまうほど本当に感慨深い。自転車レースは本当に難しいスポーツで、特にこれほどのクラシックレースで勝つのは難しい。フレーシュ・ワロンヌで英国人初の勝者になれたんだから素晴らしいと思う。実は何年もこのレースを観戦していた。だからこのレースの格式と威信を知っている。アルデンヌに来てフレーシュ・ワロンヌに勝つことは本当に特別なことだ」とウィリアムズ。
文:山口和幸
山口 和幸
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