【コラム】アメリカ大統領選 “ハリケーン対応”が勝敗の分け目? 激戦州ノースカロライナの被災地を歩く(前編)
■トランプ氏が返り咲けば…今、一番必要な「家」が買える
トランプ氏を見るために駆けつけたというヒスパニック系移民の男性と出会った。家族・親戚10人以上で暮らしていたトレーラーハウス14台がハリケーンで全て流されてしまい、今は教会の牧師宅の地下ガレージで他の家族とともに身を寄せ合って暮らしているという。 男性が今、一番必要だと語ったのは、家族で暮らす「家」。インフレのせいで物価が上がり、家を借りるお金もない。「トランプ氏が大統領になれば、家が買えるようになる」とトランプ氏への期待をにじませた。男性はすでに期日前投票を終え、トランプ氏に票を投じたという。
■アメリカの避難所…日本との“意外な違い”は?
男性と別れた後、被災地のアッシュビルにある最大規模の避難所を訪れてみた。見本市やイベントで使われる巨大な倉庫のような建物の中にベッドが並べられ、被災者およそ150人が身を寄せて生活を送っていた。 日本の学校の体育館に設置される避難所とは違い、隣との間隔は十分とられている。そのせいか、段ボールの仕切りなどは全くなかった。担当の赤十字ボランティアによると、ピーク時は300人が利用していたのが、1か月で半分に減ったという。仮設住宅も少しはあるそうだが、ほとんどの人は避難所から近隣のホテルなどに入るのだという。避難している人の水や食料などの物資は潤沢にあるが、洋服などを購入するための寄付金が欲しいと現状を話してくれた。 避難所の前には“臨時のバス停”が設置されていた。一日4本、連邦緊急事態管理庁(FEMA)の臨時オフィスへのバスが出ているという。配車アプリ大手「ウーバー」とも契約し、車を失った被災者が買い物、投票、復興のための手続きに不便がないようにしているという。 連邦緊急事態管理庁の臨時オフィスは学校施設を借り上げて運営されていた。仮設のテーブルが備え付けられていて、被災者にとって必要な保険の申請書類、免許の再発行、証明書類などをワンストップで対応できるようになっている。一日200人ほどの被災者が訪れているという。ハリケーンの被害は、大統領選挙にどの程度のインパクトを与えるのか。