＜中部大春日丘・京都工学院＞3回戦進出を決めて喜ぶ京都工学院フィフティーン（撮影・北條　貴史）

　◇全国高校ラグビー大会2回戦　京都工学院15ー7中部大春日丘（2024年12月30日　花園ラグビー場） 　前身の伏見工時代に4度優勝した京都工学院が、前回8強のBシード中部大春日丘に競り勝った。 　逆転勝利には伏線があった。聖光学院に112―0で大勝した1回戦後。ドラマ「スクール☆ウォーズ」の主人公のモデルとなった山口良治総監督（81）から大島淳史監督（42）に連絡が入った。「キック外しすぎだよ」――。猛攻の裏で、同校OBになぞらえて「平尾誠二2世」と呼ばれるSO杉山祐太朗（2年）がコンバージョンキックを9本中4本外していたのだ。そこで指揮官は、杉山に「山口先生が怒ってはったぞ」とだけ伝えておいた。 　そのキックが息詰まる膠着（こうちゃく）状態を動かす。0―0の後半5分、約40メートルのPGに成功。さらに、見せ場は1点リードの同22分だ。HO川口がトライを奪った直後のゴールキック。左隅の難しい位置から鮮やかに決めてみせた。試合は終盤。1トライ1Gでは追いつけない、8点差にした意味は大きい。指揮官は「今日は勝負どころで（杉山）祐太朗が決めてくれた。良かったです」と陰の立役者を称えた。 　現校名に変更した16年以降では初出場で、数多くの立ち見客を含む観衆1万人が集結した。「僕たちは伝統を引き継いでいる。期待に応えたい」とHO川口。校名が変わっても、心打つドラマチックなラグビーは変わっていない。（河合　洋介）