センバツ高校野球 常葉大菊川応援団 「声出し解禁」練習に熱 「ナインに負けぬ元気届ける」 /静岡
18日開幕の第95回記念選抜高校野球大会では、マスクの着用を条件に、2019年夏の甲子園以来となる観客の声出し応援が認められた。新型コロナ禍でさまざまな制約が課されながらも、常葉大菊川の応援団は野球部を鼓舞してきた。大舞台で精いっぱいの応援を届けようと、練習に一層熱が入っている。【皆川真仁】 「かっとばせぇ――きぃくぅがわ――」。菊川市の同校野球場に夕方、応援団の甲高い声援が響いた。野球部との連帯感を強めようと、今春卒業した3年生の発案で昨春から月1回、野球部の傍らで応援練習を続けている。団長の古川夢奈さん(2年)は「打球音を聞いたり、石岡諒哉監督から『頑張って』と声を掛けていただいたりすると、身が引き締まります」と話す。 常葉大菊川は1972年に女子校として創設され、共学化後も女子の比率が高い。応援団も同様に女子主体で、現在は女子11人に対し、男子は1人しかいない。 古川さんは入学直後の新入生歓迎会で、応援団の力強い演舞に心を動かされて入団を決意した。学ラン姿の先輩たちの姿は「自分もこうなりたいと思うカッコ良さだった」と振り返る。だが、コロナ禍で迎えた1年夏の県大会。声出しのない応援に「応援団がいる意味があるのかな……」と、戸惑いが隠せなかった。 それでも団員たちは知恵を絞りながら、選手への応援メッセージをボードに大書して掲げたり、観客と一体となった手拍子でスタンドを盛り上げたりしながら、甲子園を目指すナインを後押ししてきた。男子部員、伊藤旬平さん(2年)は「振り付けや手拍子のリズムをそろえることに力を入れてきた」といい「声出し解禁で思いがより伝えやすくなる」と期待を込める。 応援団は、主に野球部の試合で活動。週3回、1日約2時間の限られた練習時間の中で、団員たちは走り込みなどの体力づくりや、振り付けの練習に励んできた。古川さんは「入学後初めての声出し応援ができるのがとてもうれしい。ナインに負けないくらい元気よく、明るい声援を送りたい」と力を込める。 センバツでは「エル・クンバンチェロ」などの定番曲に加え、新曲「Run Up KIKUKO」を披露する予定だ。石岡監督がかつて在籍した社会人野球の強豪、ENEOSのチャンステーマ曲「Run Up ENEOS」をアレンジしたもので、センバツ出場決定後に石岡監督からの要望で練習を重ねてきた。 中学時代は女子サッカー部で主将だったという副団長の山崎心愛(ここあ)さん(2年)は「ENEOSとはひと味違うものになっているけど、観客に乗ってもらえたらうれしい」と話した。