河合優実×吉田美月喜、俳優人生を支えた先輩からの“お守り”言葉 「あなたなら大丈夫」
吉田「少しだけ自分の声を好きになれた気がします」
ーー今回、声優という新しい領域で演技に挑戦されたと思います。演技について視野が広がったと感じる部分を教えてください。 吉田:今回、初めて声だけで演技をするということをしたので、あらためて声の演技の難しさと、そこに重点を置くことの大切さを感じました。特に私が演じた京本は秋田弁をしっかり話す役で、これまでにも方言の役はやったことがあるんですが、身体表現を使える映画や舞台とは違って、声だけで方言を表現するのは、ハードルもプレッシャーも全然違うなと実感しました。この経験を通して、俳優にとって声がいかに重要かを痛感しましたね。 ーー声の重要性は、声優のお仕事をしてみて初めて気づくことも多いと思います。 吉田:実は私、もともと自分の声があまり好きではなかったんです。でも今回、この作品に起用していただいて、監督から京本のイメージに私の声質や持っているものが合っていると言っていただけたので、それが自信につながりました。おかげで少しだけ自分の声を好きになれた気がします。 河合:やってみて実感したのは、声優のお仕事は俳優とは似ているようでやはり違う職業だということですね。お芝居では声以外の表現方法も多く使えるので、声優として演じる中で、改めて声というものを見つめ直すきっかけになりました。セリフをどうやって届けるかということを、また新たな角度から考えることができて面白かったです。大学時代に演劇学科で学んだ時に、演劇は映像作品よりも「言葉」にかなりの比重を置いていることを感じて、お客さんにどうやってセリフを届けるかをよく考えたことがあって。声優のお仕事にもそれと通じるものを感じました。一方で、映像作品では言葉以外の部分で多くのことが表現できるので、物語を作り上げているセリフというものを、あらためて捉え直すことができたと思います。 ーー特に今回は、登場人物が成長していく物語なので、時間の流れとともに演技も変化していくのではないかと思います。 河合:おっしゃる通り、演技は変化していきますね。私が演じた藤野は小学生から大人になるまでを演じているので、台本を読みながら、どの辺りで声の質を変化させていくかを考えるのは手探りでしたが、声のトーンをどう変えていくかというプランは立てました。小学生の声を演じるのは、映画の俳優としてはあまりない経験だと思うので、そこも含めて楽しみながらアフレコに臨みました。 ーー演じるキャラクターは真逆ですが、お2人自身は似ているところがありますか? 河合:こうやって取材を受けていても「わかるわかる!」って思うことが結構多いです。 吉田:ね! 作品のことについてとか、自分自身のこととか……それこそ俳優人生のことについていっぱい話してるけど、共通する部分はたくさんあるよね。同世代っていうのもあるし、同じ演技っていうものをやってる中で、きっといろいろ考えてることが似ることもあるのかなとか思いながら、勝手に気が合うと思ってます(笑)。