河合優実×吉田美月喜、俳優人生を支えた先輩からの“お守り”言葉 「あなたなら大丈夫」
河合「そんなふうに言葉をかけられる人になりたい」
ーー作品の中で幼い頃の京本の言葉が藤野の心に刺さって、夢につながっていくというシーンがありました。俳優人生の中で、誰かから言われた言葉で印象に残っているものがあれば教えてください。 河合:いろんな方からたくさんの言葉をいただいているので、どれも大切なのですが、ひとつ挙げるとすれば、映画『PLAN 75』で共演した倍賞千恵子さんから言われた言葉ですね。撮影の最後、2人のシーンが終わって私が現場を離れる時に、千恵子さんがハグをしてくださって、「頑張ってれば誰かが必ず見てるから、あなたなら大丈夫だよ」と言ってくださったんです。それを聞いて、すごく心が温かくなりました。共演自体はものすごく短い時間だったのですが、そう言葉をかけていただけたことがとても嬉しくて、本当に頑張ろうという気持ちになれました。私も年を重ねて、若い俳優さんたちと一緒にお仕事する機会があれば、そんなふうに言葉をかけられる人になりたいなと思います。 ーー長いキャリアの中で、お守りのような言葉になりそうです。 河合:そうですね。最近、過去の自分を振り返った時にも、この言葉に支えられていたことを思い出しました。 吉田:私は、一時期すごくつらい時期があったんです。自分にとって本当に受かりたかった大きなオーディションに落ちてしまって、そこからずっと悪いループに陥ってしまった時期で、オーディションに落ち続けてしまって……。当時通っていた演技レッスンが高校生までだったんです。だから、高校卒業後のその時は、それまで通っていた演技レッスンも終わっていて。そんな時、久しぶりに演技レッスンを見学させてもらったんです。レッスンが終わった後、長年教えてくださっていた演技の先生が、私の顔を見て「キラキラしてた頃の顔と違うね」と言われたんです。 ーー先生は見抜いていたんですね。 吉田:そうですね。ビックリしたのと同時に、最近なかなかうまくいってないことを話して。そうしたら先生が「自分が監督やお客さんからどう見えるか、いい演技ができるかではなく、作品をどうしていくかを考えなさい」と。俳優はそうあるべきなのに、オーディションに受からなきゃという気持ちが強すぎて、「自分を良く見せなきゃ」「いい演技をしなきゃ」という狭い視野になってしまっていたんだなって、ハッとさせられました。先生の言葉で、俳優はそういう存在でなくちゃいけないと再確認できた気がします。その後、すぐにオーディションに受かったわけではないけれど、心の中のモヤモヤしたものは晴れた感じがして。今でも、行き詰った時はその言葉を思い出して、作品のために自分に何ができるかを考えるようにしています。
すなくじら