河合優実×吉田美月喜、俳優人生を支えた先輩からの“お守り”言葉 「あなたなら大丈夫」
『チェンソーマン』で知られる漫画家・藤本タツキ原作の劇場アニメ『ルックバック』で、声優という新たな領域に踏み出したのが、河合優実と吉田美月喜だ。 【写真】河合優実×吉田美月喜、インタビュー撮り下ろしカット(全6枚) 河合が命を吹き込んだのは、学年新聞に4コマ漫画を描く小学4年生の少女・藤野。吉田は、藤野の同級生でありながら不登校の少女・京本を演じた。 演じるキャラクターは対照的ながらも、お互いに通じるものがあると話す2人。アニメーション作品ならではの、成長していく登場人物の声の演技について、俳優目線での洞察を交えながら語り合う姿からは、演技への真摯な思いが伝わってくる。 また、長年演技の道を歩んできた中で、キャリアの支えとなった言葉についても明かしてくれた。時に厳しい芸能の世界を生き抜く2人が、役者としての人生の中で大切にしている言葉とは一体何だろうか。同世代で同じ役者の道を歩む者だからこそ分かち合える夢への想いと、その実現に向けて歩んできた道のりを、等身大の言葉で語ってもらった。
俳優を目指したきっかけ
ーー本作では漫画家になる夢の「きっかけ」が描かれています。まずはお二人の「俳優を目指したきっかけ」を教えてください。 河合優実(以下、河合):高校時代の3年間は、自分にとって大きな転機となりました。私が通っていた高校は、出し物やイベントに力を入れていて、ダンスや歌、演劇など、学生たちがプロではないながらもみんなで作品を作り、人に見せる機会がとにかく多かったんです。一緒に物作りをすることの楽しさや、お客さんから笑い声や掛け声、感動の反応が返ってくることに、これ以上の喜びはないと感じ、この道を仕事にしようと決意しました。 ーー舞台を作るという意味では演者として表に立つこと、もう1つは舞台を支える側として関わることの2つの側面がありますよね。演者の道を選ばれたのはなぜだったのでしょうか? 河合:もちろん、裏方に携わることもありました。振り付けを考えたり、音楽や動画の編集をしたり。とにかく幅広い視点で、何かを作ることの楽しさを味わってましたね。でも、その中で、優先順位としては直感的に、自分の体や声を使って表現することが一番好きで、自分に合っているように感じたんです。なぜだったのかは、明確な理由があるわけではないんです。いろいろやってみた結果、演者としてステージに立つことが自分のやりたいことなんだなと感じていたのが、演者の道を選んだ理由ですね。 ーー吉田さんはいかがですか? 吉田美月喜(以下、吉田):私が演技の仕事を始めたのは、中学3年生の時にスカウトされたことがきっかけですね。それが自分の中で大きなターニングポイントになったと思います。それまでは自分がこの業界で働くことは想像もしていなくて、ずっと部活動に打ち込んでいました。真っ黒に日焼けして、髪は短く切って、ファッションにも無頓着な、典型的なスポーツ少女だったんです。そんな中で、まさかのスカウトという予想外の選択肢が突然現れて、何だかちょっと気になって。「じゃあ、やってみようかな」と思って飛び込んだのが、この世界に入るきっかけになりました。 ーーそのスカウトを受ける前は、芸能界に対する憧れや興味を持った瞬間は全くなかったのでしょうか? 吉田:実は小学校2年生の時に、ふと、「かわいい服を着られるモデルさんっていいな」って思ったことがあって、そのことを母に話したんです。でもその時は、「あなたにもしそういうご縁があるなら、きっと将来またチャンスが巡ってくるから、今はしっかり勉強しなさい」と言われて、その話はいったん忘れていました。でも、結局勉強はそっちのけでスポーツばかりやっていたんですけどね(笑)。そうしたら中学生になって、急に身長が伸びて、メガネからコンタクトにしたら、スカウトの方に声をかけて頂きました。その時に、小学生の時に母が言ってたことを思い出したんです。これがあの時の“ご縁”なのかなって。だから、その気になってチャレンジしてみようと決めました。