カルビー、江原信社長が2024年を振り返り。新たなスイーツ「冷凍した焼き芋」が登場
カルビーは東京・丸の内の本社において、メディア向けに代表取締役社長 兼 CEO 江原信氏への取材会を開催した。 【画像】カルビーかいつかスイートポテト株式会社 代表取締役社長 安藤國行氏 ■ 値上げをしても価値を感じてもらえるようブランドに対する投資、ブラッシュアップを 江原氏は、原材料のコスト上昇、円安などもあって価格がおさまらないなかでの取り組みとなり、賃上げが物価に追いつかないため節約志向も強く出た難しい1年だったと、2024年の振り返りをスタート。価格改定に至らなければならなかったが、しかしながら値上げ後も好評・好調な商品もあるという。商品展開は松竹梅の各クラスで価格の幅を設けて手に取りやすいものも用意し、付加価値のある商品は原材料のアップ分ぐらいはあげるといったことで対応した。また、従来はどのシリーズ・商品もまんべんなく広告展開していたものを「メリハリをつける」ような工夫も。さらに、生産オペレーションの最適化、サプライチェーンの最適化に取り組んでいることなどから、好決算につながったとした。 同社は広島に新工場を建設しているが、工事は順調で最後の仕上げの段階にあり、予定どおり2025年1月には稼働の予定。SDGsに配慮しCO2削減もしつつ生産性も向上した最新鋭の工場とのこと。さらに労働環境も改善にも取り組んでおり、繁忙期の負荷の平準化を進めている。一方、茨城にある下妻工場などの老朽化も課題としてあるため、新工場のプロジェクトチームを立ち上げ、準備しているところだという。 海外では香港やタイで生産した商品をアメリカに輸出しており、およそ50億円まで伸びているが、そもそもアメリカメインランドにおいて生産して、カルビーブランドとして販売していく準備が整ってきている。先日の大統領選挙で再び来年からトランプ政権となるが、重い関税を課すといった発言も続いており、ドル円の為替とあわせてアメリカでのビジネスの舵取りの不透明さは不安材料となっている。中国では処理水問題などがあったためおよそ20億円のマイナス。ただ、中国側の解禁を待つのではなく、現地生産などでもカバーしていくとしている。海外市場ではスナック商品が伸長しているが、今後はまずはタイなどからシリアル商品にも注力し、現地でシリアル商品も生産できるようにしていきたいと展望を語った。 国内での芋の生育については、2023年と比較して今年の北海道は全体的に豊作だったという。夏場は暑かったが夜間には寒暖差が出るようになり、デンプンも増え、今年の品質はよりよいものになっているそう。カルビ-では芋の品種改良にも継続的に取り組んでおり、毎年のように新しい品種を出している。これは温暖化対策でもあり、病気に強く、高温に強いものへ進化し続けている。 来年に向けては賃金の上昇、物流費の上昇などからさらにもう一段の価格改定もせざるを得ないが、どれだけ価格転嫁できるだけのブランドでいられるか、価値を感じてもらえる商品であるか、そのためのブランドに対する投資、ブラッシュアップするための取り組みが重要であるとした。 ■ 冷凍した“焼き芋”はもはやスイーツ 会の後半では2020年にカルビーグループに入った(100%子会社)カルビーかいつかスイートポテトで代表取締役社長を務める安藤國行氏と、カルビージャパンリージョン スペシャリテ統括推進本部 ゼネラルマネジャーの北村恵美子氏が、カルビーかいつかスイートポテトについて説明した。 同社は1967年に現在の茨城県かすみがうら市で甘藷(さつまいも)の卸問屋としてスタートし、生産者と苗作りや肥料などの段階から貯蔵・加工・出荷まで、あらゆるレベルで品質の向上に取り組んできた。カルビーグループに入ってからは「さつまいもの新しい価値を育む」をミッションに、オリジナルブランドのさつまいも「紅天使」の普及など事業拡大を進めている。 同社のビジネスで我々に身近なところでは、全国の提携スーパーに焼き芋機を貸し出して(およそ1500台)生芋~焼き芋をスーパーを通じて消費者に届けている。そのほかには熟成焼き芋専門店「蔵出し焼き芋かいつか」を茨城を中心に6店舗(かすみがうら本店、つくば店、イオン土浦店、流山おおたかの森店、プレイアトレ土浦店、ラゾーナ川崎プラザ店)を展開。そのなかでもかすみがうら本店、つくば店、流山おおたかの森店ではソフトクリームやラテなど焼き芋を使ったメニューを販売している。また、通販の強化も進めており、「蔵出し焼き芋かいつか」ECサイトでは、焼き芋、干し芋、スイーツ、ジェラートなどをラインアップしている。なかでも「新たなスイーツ」と表現した「冷凍・冷蔵焼き芋」が注目商品として紹介された。焼き芋を冷凍したものなのだが、品種改良が進んだこともあり、焼きたてでなくてもしっとりとした食感が継続しており、自然由来ながら強い甘さを感じる、まさしくスイーツとして成立するおいしさをもっていた。 ■ カルビー「さつまいもに関するアンケート調査」 調査期間:2024年11月15日~19日 調査方法:インターネット調査 有効回答数:2601名 調査対象エリア:全国 調査対象:カルビー公式LINE友だち、カルビーかいつかスイートポテト公式Xフォロワー、カルビー公式Xフォロワー また、カルビーは「さつまいもに関するアンケート調査」を実施し、調査結果を発表している。カルビーグループの成長戦略では、「アグリビジネス」を注力すべき新領域の1つに位置付けており、国内最大規模の取り扱いであるさつまいも事業に関連したアンケートを実施した。アンケートでは熟成焼き芋専門店「蔵出し焼き芋かいつか」やECサイトで販売している冷凍・冷蔵焼き芋の認知度についても調査しており、冷凍・冷蔵焼き芋は1年を通じて手軽に食べられることなどで支持を得られており、約8割の人が冷凍・冷蔵焼き芋を「知っている/聞いたことがある」と回答した一方で、「すでに食べている」という回答は3割にとどまったという。 □「さつまいもに関するアンケート調査」主なポイント ・回答者の6割以上が「月に数回以上さつまいもを食べる」と回答 ・さつまいもの喫食理由は「好きだから、おいしいから」「腸活に良さそうだから」「旬を感じたいから」が上位に ・さつまいもの食べ方は「自分で調理する」が4割、「調理済のもの購入する」を上回った ・回答者のうち「さつまいもをほとんど食べない」という回答は1割未満 ・さつまいもをほとんど食べない理由は「調理が面倒・できない」が半数以上、そのうち6割以上が冷凍・冷蔵焼き芋があれば「食べる機会が増える」と回答 ・約8割が「冷凍・冷蔵焼き芋を知っている」と回答したが、「すでに食べている」という回答は3割未満に
グルメ Watch,編集部:稲葉隆司