大地震で半壊した遠方の実家…「帰りたい」と泣きじゃくる年金14万円の83歳母を、助けられない東京住み・年収400万円の52歳息子の後悔【CFPの助言】
環境の変化から、母が認知症に
なんとか母を説得し、自宅は取り壊して母には賃貸住宅で生活してもらうことになりました。 住み慣れた自宅から離れ、慣れない賃貸住宅で生活していた幸子さんでしたが、住み慣れた地域から離れて近所の人との交流も少なくなり、話し相手がいなくなった幸子さんは急激に弱り、賃貸住宅で暮らすようになってから2年で認知症を発症、施設で暮らすようになったのでした。 「あのとき自宅を復旧してもとの生活に戻ることができていれば、母は住み慣れた地域で元気に暮らすことができたのではないか……」沢田さんはいま、後悔しています。
地震への備え
地震や津波、自然災害が全国で多発しています。先日(令和6年8月8日)は宮崎県で最大震度6弱を観測する地震が発生し、南海トラフ臨時情報の巨大地震注意が初めて発表され、多くの人が地震に強い危機感を持っています。リスクの高い地域、低い地域、それぞれありますが、災害発生時への対策はとても大切です。 災害発生時に意識することは、まずは自分の身を守ることです。そして、当面の水や食糧を確保し、まずは命を守ります。 その後に考えることは、生活再建です。もし自宅が被害にあったら、再建のための備えとなる火災保険への加入はとても重要です。近年では火災保険は火災だけでなく、雪災、風災、水災などの様々な自然災害や、日常生活における住宅の損壊のリスクに対応した保険が一般的です。 地震については自然災害に広く対応した火災保険でも対応しておらず、火災保険の特約として別途付帯する必要があります。しかし、地震保険の保険料を付帯することで保険料が大幅に高くなるために地震保険を付帯しないケースも少なくなく、沢田さんの母も少ない年金のなかから支払う保険料が負担に感じ、地震保険を火災保険に付保していなかったのでした。 自宅にはどのようなリスクがあり、どういった補償が付保されているのかをチェックしておくことが必要です。 また、地震保険は全壊時でも火災保険の金額の半額までしか付保することができず、それだけでは十分な金額を確保するのは難しいものです。しかし、災害発生時にまとまった資金を得て、生活再建のためのまとまった資金を確保するためには大変重要なものです。 安易に考えず、災害発生時にどのように生活再建を考えるかという観点から加入を検討しておきましょう。