カレーライス物価「370円」超えに庶民は悲鳴…値上げラッシュ再燃でエンゲル係数“爆騰”迫る
師走の物入りに悲しいニュースだ。帝国データバンク(TDB)が10日、今年10月の「カレーライス物価指数」を発表。135.6(2020年平均を100)となり前年同月比で20.5%上昇した。伸び率20%台は、過去10年で初めてだ。カレーライス1食あたりのコストは371円に上り、昨年同月に比べ63円増。7カ月連続で最高値を更新したうえ、来春まで食品を中心に値上げラッシュが続く見込み。このままではエンゲル係数が“爆騰”しそうだ。 松村邦洋さん「デブにカレーは飲み物ですから…」で感じた「出すぎず、抑えすぎず」の妙 ◇ ◇ ◇ カレーライス物価は、TDBが原材料や光熱費などに基づき独自に試算した指標だ。対象の具材はニンジン、ジャガイモ、タマネギ、牛肉(輸入)、コメ、カレールー、食用油。そこへ電気・ガス・水道代を加味する。 最も費用が高いのは具材(201円)。ライス(142円)、ルー(25円)、水道光熱費(4円)と続く。ルーと光熱費は前年同月から横ばいだが、具材は13円増、ライスに至っては51円の大幅増だ。 「円安を背景に輸入牛肉の価格が上昇する一方、野菜は前月を下回ってきました。具材価格は落ち着いていますが、コメは店頭価格が高止まりし、カレーライス物価の上昇を牽引しています。年末年始にかけて下がる要因は見当たらず、11月の試算は1食380円に到達する可能性があります」(TDB情報統括部・飯島大介氏) スタンダードな具材以外も、通常より高い価格になりそうだ。農水省の「野菜の生育状況及び価格見通し」(12月)を見ると、ナスは〈平年を上回って推移〉、トマトとピーマンは〈前月から徐々に落ち着くものの平年を上回って推移〉する見通し。カレーにピーマンが欠かせない日刊ゲンダイ記者も悲しい。
「経済は回復の兆し」に実感ゼロ
さらに家計に追い打ちをかけるのが、食品の値上げラッシュだ。TDBが先月末に公表した食品主要195社の価格改定動向調査によれば、年明けから来春までの飲食料品の値上げは、分かっているだけでも3933品目に及ぶ。 前年同時期に公表した今年の値上げ品目見通し(1596品目)を倍以上も上回った。 「食卓の物価高は今年を上回ると予想される」(飯島大介氏)という。 家計に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」は足元で約30%。理想とされる20%前後に比べ、異常な高さである。 再燃する値上げラッシュに、エンゲル係数の爆騰は待ったなしだが、政府はノンキなもの。加藤財務相は9日の財政演説で「我が国の経済は回復の兆しが見られている」などと胸を張っていた。一体どこが、だ。経済評論家の斎藤満氏が言う。 「企業はコストの価格転嫁を恐れなくなってしまい、賃上げが物価高に拍車をかける悪循環です。賃上げで多少は手取りが増えても、物価高で相殺されてしまう。国民生活は2年以上も続くインフレで疲弊しているというのに、いつまでも『デフレからの脱却』を叫ぶ、庶民感覚から乖離した政治が続いています」 実感なき経済成長の「兆し」を誇る前に、家計にのしかかる「重し」をどうにかして欲しい。 ◇ ◇ ◇ 消費支出に占める食費の割合が日本で急伸し、主要7カ国でトップに。これを受け〈エンゲル係数が高いのは貧しい発展途上国とされてきましたが、「衰退途上国」の日本でも同じことが起きているようです〉のXのポストが注目を集めている。●関連記事【もっと読む】『ニッポンは「衰退途上国」なのか…エンゲル係数がG7首位の衝撃』で詳報している。