まるで西海岸のような風景にファミリーやカップルが続々、あの「葛西臨海公園」がオシャレに変貌した事情
「山下公園は観光客も多いため、新たに建物を建てたら相応の集客は期待できたでしょう。しかし、当社では山下公園の宝は、みなとみらい地区やレインボーブリッジ、横浜港大さん橋などを一望できるロケーションにあると定義づけました。また、横浜を広域にとらえたとき、みなとみらいをはじめ、関内や横浜中華街、山手・元町などの中心に位置するだけでなく、周辺をつなぐハブになっている。その特徴を踏まえて結節点という方向性を定めるとともに、魅力を体感できるコンテンツづくりを考えました」
そしてできたのが、「THE WHARF HOUSE(ザ・ワーフハウス)」というレストハウスで、中にはカフェとレストラン、バーベキューテラス、ビアガーデン、そして足湯がある。象徴的なのは、東京湾を眺めながらつかれる足湯だろう。このアイデアも、ロケーションを生かすという方向性があったからこそ生まれている。 もし当面の集客を優先するならば、複数フロアからなるカフェや商業施設を建設していたかもしれない。しかしその結果、視界が阻まれ、周囲から人を引きつけられなくなってしまう可能性がある。
足湯のおかげもあってザ・ワーフハウスは初年度で3万人の来客を達成するというジェットスタートを切った。これにより、従来のレストラン事業ではなしえなかった稼ぎ方が可能になった。ザ・ワーフハウスの足湯は1人200円で、もし3万人の半分が足湯を利用するだけでも3000万円の売り上げ、それがほぼそのまま利益にもなる。 ■飲食店で3000万円の利益を出すのは大変 飲食店で3000万円の利益が出る店を作ろうとしたら、実現までの道のりがかなり険しい。利益率が10%だとしたら、年間の売り上げは3億円必要だ。月間で2500万円の売り上げを叩き出す店をつくるには、ある程度の立地に、それ相応の広さの店を抱えるのと同時に、莫大な初期投資と、日々のオペレーションを回す多数のスタッフも雇用しないといけない。加えて、毎日、満席近くまで埋まるように販促を行いながら人件費と原材料費をコントロールして、利益を残していく必要もある。