【コラム】今週発表の米インフレ統計、極めて重要な材料-オーサーズ
(ブルームバーグ): 米国では週明け3日間に最新のインフレデータが相次いで発表される。13日にはニューヨーク連銀の月次インフレ期待調査、14日には生産者物価指数(PPI)、そして15日に消費者物価指数(CPI)と続く。この統計内容は極めて重要だ。
最近のムードは、インフレが抑制されつつあるという楽観へと傾いた。先週政策会合を開いた世界各地の中央銀行は利下げを実施したか、利下げが差し迫っていると示唆した。直近のデータはまた、米連邦準備制度がまさに望んでいたような形で米経済が減速しつつある様子を示している。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後のインフレ局面で米雇用市場は一貫して強さを保ち、それが金融当局の緩和を難しくしていた。だが先週、新規失業保険申請件数が増加し、昨年8月以来の高水準に上った。
新規失業保険申請は振れが大きいデータで、それまで少ない件数が数回続いていたため、4週移動平均は最近の健全なレンジに依然とどまっている。それでも先週のような増加は、高金利が経済を実際に冷やしつつある場合にまさに目にするであろう展開だ。この水準の件数があと1カ月続くようであれば、米金融当局の利下げ正当化ははるかに容易になるだろう。
一方、ミシガン大学消費者センチメントの直近の数字も、期待・現況指数とも大きく低下した。経済がハードランディングもソフトランディングもせず、強い状態を保つ「ノーランディング」を見込んでいた多くの市場関係者にとって、こうした悪い統計は衝撃だった。これは統計的に有意な意味を持つ。やはり、このような数字なら利下げをはるかに正当化しやすくなる。
今年の他の多くもそうであるように、問題は政治にある。二極化が経済認識を大きく乖離(かいり)させているのだ。共和党支持者は現状を惨憺(さんたん)たる状況だと考えているが、民主党支持者は素晴らしいと認識している。次のグラフは、直近2回の大統領選サイクルに消費者信頼感が共和党支持者、民主党支持者、無党派層でどのように動いたかを示したものだ。