歴史を変えるチャンス。 ラグビー日本代表が全力でオールブラックスに挑む
日本ラグビーの歴史を変えるチャンスが訪れた。日本代表は1987年の初対決以来、ニュージーランド(NZ)代表オールブラックスに一度も勝ったことがない。だが、その差は着実に小さくなっている。直近の対戦は2022年10月29日(国立競技場)で、31-38で敗れたものの、1トライ1ゴール差で最後まで勝つ可能性のある戦いを繰り広げた。2023年のラグビーワールドカップ(RWC)に向けてチームがまとまっていた当時と比べ、現状は2027年RWCを目標にチームを作り直している段階。日本ラグビーの地力と、試合への準備の確かさが試される戦いになる。
リポビタンDチャンレンジカップ2024日本代表対NZ代表は、10月26日(土)、神奈川県の日産スタジアムで行われる。「試合の最初からファンを魅了し、本物の日本代表のプレーを見せることが私たちの仕事。スピード、賢さを活かしたプレーをして私たちのペースに持ち込みたい」。エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチは、オーストラリア代表、イングランド代表を率いてNZ代表に勝った経験がある。「NZと対戦するときは、常にプレッシャーを与え続けることができるかという戦術的な規律を試される」。
攻めてはボールをキープして動かし続け、ディフェンスではNZのスピードランナーを走らせるスペースを与えない。攻守に全員が動き回ってプレッシャーをかけ続ける。それを精度高くできるかどうか。不用意なキックでカウンターアタックを許し、ミスしたボールを拾われて走られてしまえば、あっというまに大量失点となる。一瞬たりとも集中力を切らさない戦いが求められるのだ。
NZ代表は試合の4日前にメンバーを発表。今回のツアーメンバーのキャプテンであるLOスコット・バレットはじめ、ジョーディー、ボーデンのバレット兄弟、FLアーディー・サヴェア、WTBウィル・ジョーダンらの主力が抜け、代表キャップ数の少ない選手が多いが、ラグビー王国の精鋭軍団であることに変わりはない。キャプテンは46キャップのLOスコット・トゥイプロトゥで、サモアにルーツと持つ選手では7人目のNZ代表キャプテンとなる。バイスキャプテンは安定感抜群のCTBアントン・レイナートブラウン、東京サントリーサンゴリアスに所属するサム・ケインが務める。ケインは元NZ代表キャプテン。ピンチを未然に防ぐタックル、献身的なサポートプレーなどで動き続ける。日本でのプレー経験があるダミアン・マッケンジーは変幻自在のステップワークを持ち、プレースキック時の微笑みでもおなじみ。マーク・テレア、セヴ・リースのWTBコンビの瞬時の加速、長い距離を走り切る決定力は日本代表にとっての脅威だ。リザーブのピーターラカイ、ルーベン・ラヴは出場すれば代表デビューとなる。