【速報】超異例「プレサンス冤罪事件」めぐり当時の特捜部検事が “刑事裁判の被告人”に 罪名は「特別公務員暴行陵虐」大阪高裁「こうした取り調べは今後繰り返されないようにすべきという一般予防の要請も高い」
学校法人の土地取引などをめぐり、「プレサンスコーポレーション」の元社長・山岸忍さんが、大阪地検特捜部に逮捕・起訴されたものの無罪が確定した“冤罪事案”をめぐり、大阪高裁は8月8日、当時の担当検事1人を被告人として刑事裁判を開く決定を出しました。
特捜部の立証の柱は苛烈な取り調べの末に得られた元部下の供述…
不動産大手「プレサンスコーポレーション」の社長だった山岸忍さん(61)は2019年12月、大阪の学校法人の経営権や土地取引をめぐる巨額横領事件に関与したとして、業務上横領の罪で大阪地検特捜部に逮捕・起訴されましたが、2021年11月に無罪が確定しました。 特捜部が山岸さんの関与を立証する柱としたのは、山岸さんの当時の部下の供述でしたが、その供述に至る取り調べは、担当の田渕大輔検事(52)が大声で怒鳴ったり、机をたたいたりする場面や、脅迫的な発言で執拗に追及する場面があったものでした。
「あなたはプレサンスの評判を貶めた大罪人ですよ」
2019年12月に行われた山岸さんの当時の部下に対する田渕大輔検事の取り調べ (今年6月に山岸さんの国家賠償訴訟の法廷で公開された音声) 「あなたの場合、いきなり学校法人への貸し付けだという前提で話しているように聞こえるのね。それって、普通の人がとる行為としておかしいでしょ、はな(最初)からあなたは、社長をだましにかかっていったということになるんだけど、そんなことする、普通?」 「それ、なんか理由あります?それはもう、自分の手柄が欲しいがあまりですか?そうだとしたら、あなたはプレサンスの評判を貶めた大罪人ですよ」 「会社(プレサンス社)が非常なね、いろんな営業損害を受けたとか、株価が下がったとかっていうことを受けたとしたら、あなたはその損害、賠償できます?10億、20億じゃ済まないですよね?それをしょう(背負う)覚悟で今、話をしてますか?」 「だからあなたが、あなたの顔が、穏やかになりきってないって見えるんですよ、見えるんですよ、見てわかるんですよ」 「また段々悪い顔になってきてるよ」 大阪地裁は2021年の無罪判決で、脅迫的な発言で執拗な追及を行ったこの取り調べが、「真実とは異なる内容の供述に及ぶ、強い動機を生じさせかねない」ものと批判。当時の部下の供述は信用できないと判断しました。