【速報】超異例「プレサンス冤罪事件」めぐり当時の特捜部検事が “刑事裁判の被告人”に 罪名は「特別公務員暴行陵虐」大阪高裁「こうした取り調べは今後繰り返されないようにすべきという一般予防の要請も高い」
山岸氏は田渕検事への不起訴処分を不服として「付審判請求」
岸さんは、田渕検事を大阪地検に「特別公務員暴行陵虐罪」で刑事告発したものの、大阪地検は2022年6月、田渕検事を不起訴処分としました。 山岸さんはこれを不服として、大阪地裁に「付審判請求」を行いました。 「付審判請求」とは、公務員の職権の濫用などについて告訴・告発した人が、検察の不起訴に不服がある時に、裁判所に対して刑事裁判を開くよう求める制度です。 「審判に付する」という決定が出れば、事件について起訴があったものとみなされ、裁判所が指定する弁護士が検察官の役割を果たして刑事裁判が進められていきます。
取り調べの一部を「嫌疑認められる」としたが…大阪地裁は「不起訴処分は結論において正当」
大阪地裁は去年3月、田渕検事による机を叩く・大声で怒鳴るなどの取り調べについて、「特別公務員暴行陵虐罪の嫌疑が認められる」とした一方、前述の法廷で音声が公開された部分の取り調べについては同嫌疑が認められるとはしませんでした。 また、嫌疑が認められるとした取り調べについて、「悪質な態様で、そうした行為に及んだ意思決定に対しては強い非難を向けなければならない」とした一方で、「悪質な言動はあくまで取り調べの一部で、取り調べ対象の当時の部下も当時、怖いとも精神的につらいとも思わなかった旨供述している」などとして、「不起訴処分は結論において正当」と判断。山岸さんの請求を棄却しました。 これを不服として、山岸さん側は大阪高裁に抗告していました。
「不起訴相当という結論を容認すれば、結果的には本件取り調べを許容するのと大差がない」高裁は地裁決定を取り消し
大阪高裁(村越一浩裁判長)は8月8日、まず地裁が“特別公務員暴行陵虐罪の嫌疑は認められない”とした、「あなたはプレサンスの評判を貶めた大罪人」などの執拗な取り調べについて、「(前日の机を叩く・大声で怒鳴るといった恫喝的な取り調べと比べれば)穏当な雰囲気の中でなされたものであるからといって、前日の言動と切り離して評価すべきではない」「前日の取り調べにおける威圧的・侮辱的・脅迫的言動による影響が残った状態で行われたものである点を踏まえれば、一連の発言について陵虐行為に該当すると認められる」と指摘。 山岸さんが問題視した、田渕検事の一連の取り調べ全体について「特別公務員暴行陵虐罪の嫌疑が認められる」としました。 そのうえで「不起訴処分相当という結論を容認するのであれば、結果的には本件取り調べを許容することと大差がない」「このような取り調べは今後繰り返されないようにすべきだという一般予防の要請も高いものがある」として、大阪地裁の判断は「失当」と判断。 地裁の決定を取り消し、田渕検事について刑事裁判を開く決定を出しました。
公開の法廷で審理
この決定に対し田渕検事側が不服申し立てできる仕組みはなく、刑事裁判が開かれる決定は「確定」しています。田渕検事は今後、大阪地裁の公開の法廷で、特別公務員暴行陵虐罪について有罪か無罪かを審理されていくことになります。