堂々完結の『呪術廻戦』…宿儺、虎杖はまだまだ謎だらけ!?未回収の「気になる伏線」
■天使とはどういう関係!?「堕天は俺だ」の真意とは?
死滅回游編の中で、虎杖から伏黒へと体を乗り移り、再び現世への受肉を果たした宿儺。そんな彼の前に立ちふさがったのが、来栖華と共生している過去の術師「天使」だ。 天使は受肉した者たちを「受肉の過程で器の自我を殺し沈めている」として嫌悪し、彼らの一掃を目的としていた。中でも“堕天”と呼ばれるプレイヤーを狙っており、その殺害が叶えば虎杖らに協力するとしていた。 ここで宿儺本人の口から、虎杖の中で「“堕天”は俺だ」とカミングアウト。なぜ彼が“堕天”なのか、なぜその事実を虎杖に教えたのかなどが不明なまま、伏黒の体を奪っての受肉へ進んでいた。 天使自身も千年前の術師であり、生前の宿儺が生きていた時代とも合致する。実際、生前の天使は安倍家の精鋭の一員として、五虚将・日月星進隊が殲滅された後に宿儺討伐に挑んだという。 宿儺が覚えているかは不明だが、少なくとも天使側は生前の宿儺と面識があるのは事実。天使が宿儺に挑んだこと、そして誰も敵わなかったことが事実なら、天使も生前の宿儺に敗れたことになる。 可能性としてあり得るのは、あまりにも強すぎた生前の宿儺が“堕天”と呼ばれていたという線だ。 天使自身、死滅回游のプレイヤーの中で受肉した過去の術師を狙っているのを「神の理に反する」としている。当人からすれば、異形の体を持ち天災とまで形容される生前の宿儺の存在自体、許されざるものだった可能性もある。
■羂索が母で宿儺の片割れが父!?虎杖の両親について
主人公である虎杖悠仁の出生についても、伏線として考察できる余地が多分に残されている。 虎杖本人は当初から人間離れした身体能力を有し、宿儺の指を取り込んでも自我を失わない「千年生まれてこなかった逸材」でもあるなど、特別な出自であるのは明白だった。 そうなると気になるのが、彼の両親についてだ。祖父であり実質的な育ての父である倭助は、亡くなる直前に「オマエの!両親の!ことだが!」と言いかけて、虎杖が興味が無いと遮ったために内容は語られなかった。 両親の名前については判明しており、母は香織、父は仁。このうち、香織は結婚後に一度亡くなったのだが、その後仁は全く同じ姿の女性と何事もなかったように生活している。女性には額に縫い目があり、その正体は本編で夏油の身体を乗っ取って暗躍していた黒幕、羂索だった。 仁は香織との間に子供をもうけられなかったとも判明しており、虎杖は羂索が操っている体から生まれたことになる。すなわち、主人公が全ての黒幕の子どもだったというわけだ。 そして父親の仁については、第257話にて真相の一端が明らかになる。彼の魂は、生前の宿儺が腹の中で喰らった片割れと同質のものであり、それが虎杖の父として転生したのだ。これらの事実から、虎杖は黒幕たる羂索と宿儺の片割れの転生者との間に生まれた子だとわかる。 もし羂索が仁の正体を宿儺の片割れの転生者だと見抜いていたなら、香織の体を乗っ取ったのも納得できそうだ。なにせ昔は加茂憲倫の体を操って「呪胎九相図」を作り出したのだから。 しかし、まだ謎は残っている。香織は一度亡くなったと倭助の口から明らかにされているが、死因などは不明のまま。仁が香織の死後、額の縫い目以外外見がそのままの彼女と普通に過ごしていた理由も不明だ。 仁は香織を失った事実を受け入れられず、愛する女性が蘇ったことにしか目が行っていなかったのか?あるいは羂索が操っていると感づいた上で受け入れていたのだろうか? 可能性としては、羂索が仁との間の子供をもうけるべく生前の香織を殺害したという線もあるし、虎杖に父親の記憶がほぼないことから仁の末路も羂索が関与しているかもしれない。いずれにせよ、虎杖の出生があらかじめ仕込まれていたことだけは確かだ。 全271話にて完結した『呪術廻戦』。宿儺と虎杖らとの戦いの結末こそ描かれたものの、回収されないままちりばめられた伏線や謎は多く残っている。いずれどこかで明かされる日が来ることを期待したいものだ。
レールガン