【バレー】河野裕輔のエール!! VNL総括編
24-25シーズンからVリーグ参入のレーヴィス栃木監督で、かつてはバレーボール日本代表で活躍し、JTサンダーズ広島のエースでもあった河野裕輔さんの男子バレーコラムです。 皆様こんにちわ。映画「ハイキュー!」の盛り上がりも追い風となり全国でバレーボールが注目を浴びております。さて、今回は先日終了したVML男子を振り返り、来るオリンピックに向けてということを本題としたい。
VNL2024の持つ意味合い
今回のVNLについて、少しいつもとは違う意味合いを持つ大会であることは皆様感じられたであろうか?その最も大きな要因は「日本男子がオリンピックの出場権をすでに持った状態での世界大会」ということに尽きる。これがもし出場権を持っていない場合、この大会で出場権を取ることが最大の目的となる為すべてのゲームで「勝利」のためのベストの布陣で戦わなければならない。しかし今回は違う。今回の当初のチームの目的は「オリンピックメンバーの選考」であり選手にとっては「登録12名に選ばれるための最終試験」でもあった。よって主軸である石川・高橋・関田を外したエントリーも可能になった。 その中で甲斐の高さやサーブ、大塚の安定感、富田の献身的な守備などはゲームにおいてもチームを大きく助ける事となった。そして最もブラン監督も頭を悩ませたであろうリベロの選出だが、本当に差を見つけることが大変な作業であったことと察する。「世界一のリベロを2人持つチーム」ならではの贅沢な悩みだがブラン監督にとっては夜も眠れない程悩んだのではないだろうか。 そして大会後半、ファイナルに出場が決定するとまた意味合いが変化した。 それは「本番で金メダルを獲得するための経験を積む」という目的が追加された。 おそらく選手のフィジカル・メンタル状態が良く、選手交代しながらのゲームだったため疲労の蓄積が深刻な状況ではなかったのであろう。決勝戦という舞台はそれまでの大変な試合よりもさらに難しいゲームになることが多い。それは雰囲気やプレッシャーなど体験しないと分からない何とも言えない雰囲気の中でベストのパフォーマンスをすることは何よりも難しいからだ。その経験を積むためには決勝戦に出場するしかない。本当に大会でたった2チームしかその経験を積むことが出来ない、貴重な経験なのである。この経験を持って世界の強豪国と決勝戦で戦うことにおいて、「メンタルな部分でのイーブン」という武器を手に入れたのではないだろうか。