長野県でも障害者雇用水増し 手帳確認せず11人算入
中央省庁で障害者雇用を水増ししていた問題で、長野県は23日、対象とならない職員11人を障害者雇用に算入していたと発表しました。身体障害者手帳などを確認しないまま計上したもので、県は意図的な処理ではなかったとしています。 【画像】語られてこなかった障害者の戦争体験 日本や独ナチスでも抑圧の歴史
法定雇用率2.5%を下回る
長野県は6月の当初調査で身体障害者の雇用に参入した職員数は99人と確認。その後、水増し問題が表面化したため再調査したところ、身体障害者手帳などを確認しないまま算入されていた職員が11人いることが分かりました。 当初調査では99人のうち「障害者を対象とした選考により職員に採用された人」は52人で、身体障害者手帳などは全員確認しています。一方で「職員として採用後に本人の申告などで障害者として計上した人」47人については、11人が手帳などを確認できていませんでした。これにより、当初調査時点の障害者雇用率2.56%(99人)は、11人減の2.34%(88人)に下がり、法定雇用率2.5%を下回ることになりました。 職員として採用された後に障害者として申し出たケースについて、手帳の確認をしないなどの甘い対応があったと見られています。 県は会見でこれらの事実を明らかにするとともに、「全職員が障害者雇用への理解を深め、その意義を共有することで、障害者が申告しやすい雰囲気づくりを進めたい」「障害のある人、ない人が互いに尊重しつつ能力を発揮できる共生社会づくりを進めたい」などと障害者雇用や共生社会に向けた原則を徹底するとの方針を表明。 また、今回の問題を通じ「本来の障害者雇用促進の方針に沿って、障害者雇用の実態に合わせた分かりやすい雇用制度となるよう国に訴えていきたい」と国に制度改正などを求めていく考えを示しました。 障害者雇用の水増しは多くの中央省庁で表面化、同時に地方自治体にも広がっています。意図的な水増しがあったのか、審査手続きに問題はなかったのかなどが今後論議になりそうです。同時に障害者雇用が数字合わせになるだけでなく、仕事とのマッチングや職場での能力発揮のあり方など実態に即した制度として機能しているかなども検討課題になりそうです。
------------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者・編集者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説