3333段「日本一」、熊本県美里町の石段上るイベント…「もう僕は駄目だ。帰る」苦しみながらも頂上へ
熊本県美里町が「日本一」と称する3333段の石段を上るイベントが同町坂本で行われ、県内外の約270人が苦しみながらも頂上を目指した。 【写真】防府天満宮の大石段に描かれた花文字
38回目となった今回は同町合併20周年を記念し、標高差約620メートルの石段を駆け上がるタイムを競う「ランアップコース」を新設し、歩いて往復する「ウォークアップコース」との2種目を開催した。
石段は町おこしを目的に約40年前に建設され、約1・9キロの距離に3333段が並ぶ。参加者は目の前の石段に「まだこんなにあるの」「もう僕は駄目だ。帰る」などと言いながらも、一段ずつ歩を進めていった。頂上付近では、最後の石段を仲間と手をつないで踏みしめる様子や、はうようにして上りきる人の姿が見られた。参加者はその場で記念写真を撮るなどして、それぞれが達成感に包まれていた。
ランアップコースで優勝した熊本市北区の会社員(44)は頂上までを24分12秒で完走。「目標としていたタイムを切ることができて良かった」と話した。夫婦で参加した同町の参加者(62)は3回目の参加。1時間45分で往復した。頂上では、「年々体はきつくなってくるね」と苦しい表情を浮かべたが、下り終えてゴールすると「きついけど、町のPRにもなるし、上り切った達成感は格別。参加してよかった」と振り返った。
「頂上まで1時間を切りたい」記者も挑戦
本紙記者も「頂上まで1時間を切りたい」との目標をたてて挑戦した。
普段はパソコンや資料を入れている重たいリュックは、カメラとノート1冊にして軽量化。途中でカメラを構えると、参加者はピースをしたり、手を振ったりしてくれ、ささいな会話も支えになった。
足どりは重く、息も絶え絶えになった頂上手前には急勾配が待ち構えていた。「あと少し」というスタッフの声に後押されて残る力を振り絞り、59分44秒で上りきった。苦しい時間は長かったが、達成感は大きく、この石段でしか味わえないのだろうと思った。(石原圭介)