ビットコインの機関投資家への普及が加速──ETF申請から見える投資意欲
2024年の暗号資産(仮想通貨)界を支配したナラティブは、機関投資家による採用であった。ビットコイン現物ETFが米国で承認されたことから、時価総額最大の暗号資産であるビットコイン購入を表明する企業が急増していることに至るまで、暗号資産はかつてないほどメインストリームな話題となっている。 ビットコインは今年、130%近く上昇し、過去最高値を何度か更新した。現在は、心理的な閾値である10万ドル付近で推移している。1月に承認されたETFには360億ドル(約5兆6900億円、1ドル=158円換算)の純流入があり、100万BTC以上が集まっている。 さらに、ビットコインを資産に加えるという上場企業の数も増加している。2020年にマイクロストラテジーから始まったこのトレンドは最近、宇宙・防衛産業向けのエネルギー貯蔵製品メーカーであるKULRテクノロジー(KULR Technology)を惹きつけた。 テキサス州ヒューストンに本拠を置く同社は、217.18BTCを2100万ドルで購入し、現金に対する余剰の最大90%をビットコインに割り当てていると述べた。 現在、ビットコインとイーサリアム(ETH)の現物ETFをすでに提供しているビットワイズ・アセット・マネジメントは、少なくとも1000BTCを保有する企業の株式をトラッキングするETFを申請している。 12月26日付の申請書によると、ビットワイズ・ビットコイン・スタンダード・コーポーションズETF(Bitwise Bitcoin Standard Corporations ETF)と名付けられたこのファンドのその他の要件は、時価総額が1億ドル以上、1日の平均流動性が最低100万ドル以上、公開浮動株が10%未満であることとなっている。 26日に提出されたもうひとつの申請は、ドナルド・トランプ次期米大統領の政権入りが決定している政治家ビベック・ラマスワミ(Vivek Ramaswamy)氏が共同設立したストライブ・アセット・マネジメントによるものであった。 ビットコイン・ボンドETFと名付けられたこのETFは、アクティブ運用のETFで、マイクロストラテジーの転換社債などのデリバティブを通じてビットコインへのエクスポージャーを得る。 マイクロストラテジーの転換社債は、大成功を収めている。2027年に満期を迎える0%クーポンの債券の価格は額面より150%高く、登場以来ビットコインをアウトパフォームしている。 「創業以来、ストライブは世界的な法定通貨債務危機、インフレ、地政学的緊張によって引き起こされる長期的な投資リスクを訴えてきた」とストライブのCEOマット・コール(Matt Cole)氏はCoinDeskに語り、次のように続けた。 「我々は、ビットコインへの思慮深いエクスポージャーほど、これらのリスクをヘッジするのに適した長期投資はないと強く信じている」 「ストライブが計画している多くのビットコインソリューションの中でも最初のものは、企業がビットコインを購入するために発行する債券であるビットコイン債券へのアクセスを民主化する。我々は、これらの債券が魅力的なリスク・リターンでビットコインへのエクスポージャーを提供すると考えているが、ほとんどの投資家が購入できるものではない」と、コール氏は付け加えた。 |翻訳・編集:山口晶子|画像:Rokas Tenys / Shutterstock.com|原文:Bitcoin Institutional Adoption Accelerates as ETF Filings Show Investor Appetite
CoinDesk Japan 編集部