焼津市長選 中野氏4選 新人真崎氏を破る
任期満了に伴う焼津市長選は15日に投開票が行われ、無所属の現職中野弘道氏(67)=自民、公明推薦=が、無所属新人のIT会社社長真崎英彦氏(48)を破り、4選を果たした。投票率は38・50%で、前回選の42・40%を3・9ポイント下回り過去最低を更新した。 中野氏は防災や人口減少対策、ふるさと納税事業の強化などに取り組んできた3期12年の実績を踏まえ、財源の確保と施策への投資による「好循環のまちづくり」の推進を訴えた。自民、公明に加え、漁業や農業、商工をはじめとした幅広い業界の団体から支援を受け、分厚い組織力で票をまとめた。 真崎氏は子育て支援や産業振興の施策、行政投資の地域間格差の解消などを主張。現市政への批判票の受け皿となり、市政刷新を求める無党派層などに支持を広げて迫ったが、及ばなかった。 午後10時20分ごろ、焼津市中港の中野氏の事務所に当選確実の一報が届くと、集まった支援者から大きな拍手が沸いた。中野氏は「感謝あふれる選挙だった。これからしっかりと土を踏みしめて前に進んでいくことを誓う」と述べた。 ■解説・変化の実感伴う市政を 政策面で際立った争点がなく、市政の継続か刷新かが主に問われた今回の選挙。有権者の多くは現職中野弘道氏の3期12年の実績を踏まえ、引き続きかじ取りを託す判断を下した。 ただ、新人候補に一定数の票が投じられた結果にも真摯(しんし)に向き合わなければならない。これまで中野氏を支持していた有権者の中にも、市のありように「あまり変化が感じられない」との声があるのも事実。きめ細かな施策の展開とともに、市民との丁寧な対話も必要だろう。 中野氏は選挙戦でJR焼津駅の駅舎や駅前広場の再整備、焼津漁港へのにぎわい施設の誘致といった、まちの姿を変えていく事業の推進を掲げている。拠点の充実のみならず、地域全体の振興にどうつなげていくか。市民の実感を伴うまちづくりへの、ビジョンと手腕が求められる。 焼津市長選開票結果 当 26,779 中野弘道(67)無現④ 15,527 真崎英彦(48)無新 ▽投票総数42,701▽有効42,306▽無効395 新市長略歴 中野弘道氏(なかの・ひろみち)焼津市出身。衣料問屋勤務などを経て2003年に焼津市議。2期目途中に県議に転身した。12年に市長選で初当選。焼津中央高、明治大卒。同市駅北。
静岡新聞社