村田諒太の圧勝V1を米メディア報道「一方的」「危険な右」「高確率ヒット」
WBA世界ミドル級王者の村田諒太(帝拳)が同級6位のエマヌエーレ・ブランダムラ(イタリア)に8回、TKO勝ちした試合は、米スポーツ専門チャンネルのESPNが全米に生放送した。ニュース価値が高いミドル級戦線のトピックスを米メディアは速報で取り上げた。放映したESPNの電子版はページを割いて報じた。 「日本人スターの村田が日曜日、日本の横浜アリーナで行われたESPNのトップランク・ボクシングの海外版で中継された一戦でブランダムラを8回KO勝ちと一方的に下し、(WBAで)2番目のミドル級のタイトルを簡単に防衛した。試合を通してブランダムラにパンチを浴びせ、強力な右で常に相手を追い込んだ」と伝えた。 ブランダムラが戦いのほとんどをロープから逃れることに費やしており、わずか数ラウンドで、挑戦者の背中にロープに摺れたことにより、鮮やかな赤い線の跡がくっきりと浮かんでいたことに注視。 「村田はブランダムラにプレッシャーをかけ続け、5ラウンドには右をボディに打ち込み痛めつけた。村田は6ラウンド後半にも力強いパンチでロープに追い込んだ。8ラウンドにはブランダムラを再びロープに追い込み決定的なダメージを与えた」と、村田のワンサイドだった試合展開を説明した。 ESPNは恒例のデータチェックを行っており、村田が繰り出したパンチは368発で、そのうち154発をヒット(42%)、中でも、パワーショットは180発中106発(59%)と極めて高い確率でヒットさせた。逆にブランダムラは4連勝だったが、パンチ数は289発で、わずか53発のヒット(18%)だったという。 また村田の「多くの人が注目していると感じていて、それに応えるパフォーマンスが必要だった。この戦いがアメリカのテレビで放映されると知っていたので、(自分自身を)発信するためにも重要だった」というコメントがピックアップされていた。 同記事は、村田の次戦として7月か8月にラスベガスでのESPNの中継で、ロンドン五輪の決勝で村田と戦い敗れたブラジル人サウスポー、28歳のエスキバ・ファルカオ(20戦全勝14KO)を相手に行うことが期待されていると報道したが、帝拳の本田明彦会長は、この日、日本のメディアに対して、このプランを否定、「相手はアメリカ人で9月か10月」と話している。また同記事は、帝拳の本田会長と、村田の共同プロモーターを務めるトップランク社のボブ・アラム氏の「第二のタイトルホルダーとして、村田はスーパーチャンピオンのゲンナジー・ゴロフキンの挑戦者にもなり、この戦いは村田が本当に切望しているものだ」という声を伝え、「戦いたい相手はゴロフキン。上達を続けたい。日本と世界にいるファンの支援に感謝したい」という村田のコメントも紹介している。 ESPNは、「アラム氏と本田氏であれば、ゴロフキン―村田の一戦は早くて2018年後半に組まれ、1990年にバスター・ダグラスがマイク・タイソン相手に歴史的番狂わせを起こした伝説的試合会場の東京ドームでのペイパービューとなる模様」との見方を示した。 その上でアラム氏の「村田はゴロフキンにサイズで優位に立っており、戦いに勝つことは可能だろう」というコメントを掲載した。 ボクシング専門サイトのボクシングシーンも、「村田がブランダムラを倒した。8ラウンドで試合を止めWBAタイトルを防衛した」との見出しで速報。 「村田のプレッシャーはブランダムラには強すぎた。ブランダムラは試合開始から村田から離れて(戦った)が、村田が彼に敬意を示すほどのパワーは持ち合わせていなかった」と実力差が大きかったことを強調した。 またボクシング情報サイトのFight.comは、試合のポイントをレポートした。 「2012年の五輪金メダリストの村田は試合開始からペースをつかみ、逃げ回る挑戦者に刺すような左を打ち込み続けた。チャンピオンは、まわり続けるイタリア人選手に対して攻撃的に戦い、ポイントを積み上げた。6ラウンドに村田は攻撃を強め、パンチの嵐でブランダムラをロープに追い込んだが、イタリア人選手はディフェンス技術を使い、辛くも逃げ切った。しかし、村田は運命の8ラウンド終了数秒前についにブランダムラを危険な右でとらえて膝をつかせた」 次戦でラスベガスに登場する村田のTKO初防衛は、全米に対してもインパクトを与えたようだ。