メキシコ最大級の麻薬組織 中国系グループとマネロン 米国で起訴
米司法省は18日、麻薬の販売で得た利益を資金洗浄(マネーロンダリング)するため、中国人グループと共謀した罪などで、メキシコ最大級の麻薬組織「シナロア・カルテル」の関係者ら24人を起訴したと発表した。資金洗浄されたカネは5000万ドル(約78億9180万円)を超える。 【図解】麻薬取締部が押収した薬物、どう処分される? 起訴状などによると、西部カリフォルニア州の中国人の資金洗浄グループは2021~23年にわたり、協力者を通じて中国の地下銀行に振り込まれた資金で中国製品を仕入れてメキシコに輸出し、その販売で得た利益をシナロア・カルテルに還流。協力者がその見返りに、米国で不動産などを購入するための資金として、シナロア・カルテルが麻薬の販売で得た利益を活用できるようにした。 また、地下銀行に振り込まれた資金の一部は麻薬性鎮痛剤「オピオイド」の一種「フェンタニル」の生成に必要な原料を中国の業者から買い付けるための費用に充てられた。シナロア・カルテルはこの原料を使ってフェンタニルを生成し、コカインなどとともに米国に密輸し、利益を得るたびに資金洗浄していたとみられる。 米麻薬取締局(DEA)によると、フェンタニルの効き目はヘロインの50倍、モルヒネの100倍以上。米国では昨年、薬物の過剰摂取で推計10万人超が死亡したが、全体の4分の3がフェンタニルを含むオピオイドの過剰摂取だった。DEAは昨年、錠剤8000万錠以上、粉末状で1万2000ポンド(約5443キロ)近くのフェンタニルを押収したが、この分だけで3億8100万人以上の致死量に相当するという。 フェンタニルの問題は11月の大統領選の主要な争点の一つで、再選を目指すバイデン政権は対策を急いでいる。今年1月には、中国との間で麻薬対策作業部会を発足させ、取り締まり面などでの協力の重要性を確認した。司法省は今回の起訴に当たり、中国とメキシコの捜査当局が、自国に逃げ込んだ被告の逮捕で協力したとしている。【ニューヨーク中村聡也】