【解説】石破首相、トランプ氏との会談"見送り”に 舞台裏に何が…
鈴江キャスター 「2つ目の疑問ですが、安倍元首相はトランプ氏との就任前の会談に成功していました。そうするとなぜ石破氏はできなかったのか、この点はどうなのでしょうか?」 平本記者 「実は石破首相サイドもこの会談をめぐってかなりピリピリしていました。というのも前回、安倍元首相は世界に先駆けてトランプ氏と会談し、その後の信頼関係を構築することに成功しました。石破首相には『安倍さんのようにゴルフをやるわけでもない、相性・ケミストリーは合うのだろうか。トランプ氏とうまくやれるのか』という目線がかなり向けられていましたので、今回、日本だけが失敗して、もし会談がセットできなかったら嫌だなぁというふうに思っていたようです。ですので、トランプ氏側が今回、『一律に』断ってきたことには『ほっと胸をなで下ろしている』のが本音と言えそうです。トランプ氏が正式に就任する来年1月以降の早い時期の会談を模索することになりそうです」
鈴江キャスター 「そして3つ目の疑問です。ペルーに続いてブラジルでも各国の首脳との外交を石破首相は進めているところですが、その“石破流外交”に意外なところはあったんでしょうか?」 平本記者 「今回の外交訪問で見えてきた“石破流外交”の姿についてある政府関係者はこう言っています。『安倍氏のような派手なパフォーマンスはないが、地味だけれども堅実に言葉を紡いで相手の信頼を得ていくスタイル』と話しています。この言葉は習近平氏との首脳会談を受けて出た言葉でした。今、日本と中国の間には日本産水産物の輸入停止措置の問題、日本人男児の刺殺事件などなど課題が山積しています。取材を進めると、石破首相は中国側へのこうした『懸念』について、外務省の事務方が用意したものがあったんですが、それに対して『この表現では弱い。日本国内の怒りが伝わらない』と厳しくするよう指示を出したようです。一方で中国との向き合いについては『お互い助け得るところはどこかを探っていく』とも周辺に話しています」 「こうしたスタイルで臨んだ日中首脳会談について、多くの外務省関係者が『前進した』と評価しているんです。別の外務省関係者も『意外にも習近平氏とは相性が合うようだ』と分析をしていました。こうした『こびることなく言うべきことは言う』というスタイルが石破流外交なのか、という声が出ています。もちろん、今後の課題はトランプ氏をはじめ、他の国のリーダーとの向き合いで、この石破流スタイルで日本の国益にプラスとなる結果を出していけるかどうかが今後、問われてくると思います」