ギャビの体重12キロ超えで神取忍戦中止のお粗末。鳴り止まぬブーイング。
この日、中止の記者会見が設定されたのは午後1時45分だった。開場直前である。 当日チケットを購入した来場者が何人いたかは知らないが、あまりに遅すぎた。体重を落とせなかったギャビの失態に加え、大会運営サイドの不誠実な対応も、ファンのブーイングにつながったのかもしれない。 しかも、大会実行委員会は、契約違反のギャビにペナルティを科さない方向だという。 「試合が成立したらイエロー2枚にギャラ50パーセントカットになるが、流れた以上、経済的制裁では何も解決しない。ギャビは怠慢で落とせなかったわけでない、ファンに戦うことで償いを尽くすしかない」と、榊原実行委員長は言う。 今後、再戦になる場合も、もう95キロ契約では難しいようで、榊原実行委員長は、「再戦の舞台を整えるなら(契約体重も)見直す必要がある」ということらしい。 ギャビのプロ意識の欠如は語るまでもなく、ボクシングの世界戦の現場にいく回数の方が多い筆者から見れば、同じ“世界”を冠にする格闘技として考えられないほど杜撰な大会運営だ。 体調不良が原因で体重が落とせないのであれば、診断書を提出して、もっと早い段階で欠場を申告すべきだったし、ギリギリまで出場を模索していたのであれば、体重を落とすことにトライさせるべき。31日まで2日間の猶予があれば、あれだけの体格なのだから“水抜き”などの減量テクニックを使えば7、8キロは簡単に落とせるだろう。また来日前に実行委員会、或いはエージェントがギャビの調整の進行具合を確認しておかねばならなかった。 RIZINに参加するアスリートの中には「野球やサッカーのようなメジャースポーツとして認められたい」と発言するファイターが少なくない。しかし、こんな大会運営組織でメジャー化などは夢の夢。榊原実行委員長はRIZIN創設の折に、目標はUFCではなく、それを超えるワールドワイドな独自の格闘技イベントだと語っていた。純然たる競技でなく、エンターテイメント性を追求する格闘技イベントであることも理解できるが、それにしても、この神取ーギャビ戦の当日キャンセルの経緯は、ファン無視と受け取られかねないほど、あまりに、お粗末である。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)