北朝鮮軍のロシアへの派兵は確実に始まっている、派兵実現を急いだロシア・北朝鮮の本気度
2024年10月に入って、北朝鮮によるウクライナ戦争への本格的派兵問題が現実の重大な懸念事項として急浮上してきた。ウクライナや韓国から派兵情報が次々と一気に出てきた。 北朝鮮部隊が実際にロシアに派兵されているのか、また派兵がどれくらいの規模になるのか、全容は必ずしもはっきりしないが、筆者が得た情報ではすでに派兵が始まっているのは間違いない。派兵に踏み切ったロ朝の思惑や今後の国際情勢への影響などを探ってみた。
■6月のロ朝首脳会談が契機 今回の派兵問題の出発点は2024年6月に平壌で開催されたロ朝首脳会談だ。ここで北朝鮮の派兵が両国首脳間で合意された。これに関して、筆者は、金正恩・朝鮮労働党総書記が首脳会談でプーチン大統領に対し、大規模な部隊派遣を約束したことを、日本メディアとしては初めて2024年7月9日付の「金正恩がロシアに工兵部隊の派遣を約束した!」で報じた。 この情報は元々、ロシア軍の動向を詳細にフォローしているウクライナが極秘裏に入手したもので、キーウでは当初、時間を置かずに北朝鮮兵がウクライナの戦場に登場するのではないか、との見方もあった。
上記の記事が出た直後、実は北朝鮮の朝鮮人民軍の軍事教育を担う代表団がロシア極東ウラジオストクに入ったことを北朝鮮国営メディアが伝えていた。その代表団団長は、金日成軍事総合大学の金琴哲(キム・グムチョル)総長だった。 代表団訪問の具体的目的は発表されないままだったが、この代表団派遣により、両国が首脳会談から間髪を入れずに派兵についてさまざまな実務的調整を始めたことは状況的に間違いない。 この動きを見て、筆者は派兵実現を急ぐロシアと北朝鮮双方の本気度を強く感じた。派兵に至るまで両国軍部が示したこのスピード感は異例とも言える。
その後、派兵の動きがなかなか表面化せず、キーウでは一時「派兵は実際には困難かもしれない」との臆測も出ていたが、実は水面下で両国間の実務的調整が着実に進んでいたのだ。 今回、ウクライナ、韓国で一挙に飛び出した派兵に関する高官発言や報道の内容でいくつか代表的なものを紹介しよう。まずウクライナ国防省の諜報活動のトップであるブダノフ情報総局長は、約1万1000人規模の北朝鮮部隊がロシアにすでに派遣されており、2024年11月1日までに戦闘に入る準備ができていると発言した。