頭脳派ヒーロー&武闘派ヒロインが過去の惨劇の謎に迫る! 武侠ドラマの新境地『ユン・シャン伝 ~江湖 復讐の嵐~』
美男美女、イケオジ、クセつよ系までメインキャラに実力派スターが参集!
主人公の雲襄を演じるのは、『夢華録(むかろく)』『冰雨火~BEING A HERO』など時代劇・現代ドラマともに大活躍のチェン・シャオ。「是、或不是(イエス、オア・ノー。字幕では“さあ、どうでしょう”)」が口ぐせで、敵だけでなくしばしば味方をも煙に巻きながら深謀遠慮をめぐらせるキャラクターを、時にクール、時に軽妙に演じて新たな当たり役をものにした。その雲襄と次第に心を通わせていく舒亜男役には、『30女の思うこと ~上海女子物語~』で高く評価されたマオ・シャオトン。痛快な剣戟とオトコマエなキャラで見せ場をきりりと引き締める、武侠ドラマに欠かせない強く美しいヒロインだ。 ちなみにチェン・シャオとマオ・シャオトンは9年前にも武侠ドラマ『神雕侠侶~天翔ける愛~』で共演しており、マオ・シャオトンはチェン・シャオ演じる主人公への片思いをこじらせてしまう役どころだった。転じて今回はめでたくカップルに、といっても順調にいくかどうかは見てのお楽しみとしていただきたいが、俳優としてひとまわりビッグになった二人の再びの顔合わせにグッとくる。 共演陣も人気スターが顔をそろえ、チン・ラン演じる富商・蘇家の女当主とホアン・ ハイビン演じる大番頭との奥ゆかしい大人の恋は劇中イチオシの癒しポイント。個性派リウ・グァンティンの一見ワイルドで意外に純朴な侠客キャラ、そしてイケオジファンなら名優ワン・ジンソンの静かな中にすごみのある悪役ぶりも見逃せない。
黒幕の裏にまた黒幕。複雑にからみ合う利権と因縁の行きつく先は!?
本作は、武侠ものでおなじみの秘伝奥義ではなく金銭をめぐる争いが物語を動かしていくのが大きな特徴にして新基軸。賭場の落札、生糸の交易をめぐる謀略といった現代劇にも通じるスリリングな神経戦に迫力あるアクションシーンを織りこんで、そのアクションも宙を飛びまくる系のド派手さでなくもっとリアルで地に足のついたバトルが中心。武侠ドラマにあまりなじみのない人も違和感なくハラハラ、ワクワクできる作りになっている。また、主人公が事件の真相にせまっていく過程では、悪逆非道なキャラクターから敵なのか味方なのか読めない人物までが次々に登場。並行して複数のカップルの恋愛模様が波乱ぶくみで展開し、リベンジ一辺倒ではない血の通った人間ドラマとしても見ごたえがある。BOX1を見終わったときには、続きが気になってもはや止まらなくなっていることだろう。 文=浦川留 制作=キネマ旬報社
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