「オスプレイは安全」の根拠は何だったのか…屋久島沖墜落から1年「追悼は形だけ。犠牲の搭乗員がかわいそう」 米軍が運用一時停止、島民らに不安広がる
「信用できなくなった」-。米軍が輸送機オスプレイの運用を一時停止したことを受け、墜落事故が起きた鹿児島県の屋久島や緊急着陸した機体の駐機が続く奄美大島の住民からは10日、安全性へ不安の声が上がった。 【関連動画】〈音量注意〉奄美上空を飛ぶ米軍輸送機オスプレイ4機
米軍輸送機CV22オスプレイは昨年11月、屋久島沖に墜落し、全搭乗員8人が亡くなった。米軍は変速機の破損を一因に挙げたが、理由は特定できていない。今回の運用停止の原因となった米国の事故では、屋久島の事故と同様の金属劣化が見つかったとされる。 屋久島町船行の男性(69)は「似たトラブルが起きるのは、原因が究明できていないから。米軍を信頼できなくなった」と不安を隠さない。 オスプレイが数百メートル先の海上に墜落した瞬間を目撃。「一歩間違えれば民家や住民が巻き込まれた」。町内の慰霊碑も見に行く気になれない。「原因究明を徹底しない中で石碑を建てても、形だけの追悼だ。搭乗員がかわいそう」と嘆く。 奄美市笠利の奄美空港には、11月21日に緊急着陸した米海軍CMV22が駐機を続ける。同市名瀬の知名瀬町内会の豊島勇蔵会長(66)は「2週間以上止まっている。恐ろしい」と話す。 ここ3カ月間で115世帯約330人が暮らす集落上空を飛ぶオスプレイを14回目撃した。10月10日午後には、一度に4機が北の東シナ海側から南の山側に抜けていったという。「運用は国家レベルの話。個人が声を上げてもどうしようもない面もあるが、住民や搭乗員の命が懸かっている」と、抜本的対策を訴えた。
南日本新聞 | 鹿児島