2024くまもと この1年/事件・事故・裁判を振り返る(後半)悲痛な叫びに司法の判断は【熊本】
テレビ熊本
【玉名警察署員が過労自殺 熊本県に約6200万円の賠償命令】 【母・美智代さん】 「遺書の中に『疲れたので休みます』と書いてあった。死ななければゆっくり休めないほど追い詰められていたことを証明できた。『きつかったね、ごめんね』という気持ちでいっぱい」 2017年に自殺した玉名警察署の警察官の遺族が「常軌を逸する長時間労働が自殺の原因」として、熊本県に対し、損害賠償を求めた裁判。熊本地裁は遺族の訴えを全面的に認め、熊本県に約6200万円の賠償を命じた。 【原告代理人 光永 享央 弁護士】 「判決文から裁判所の県に対する怒りがにじみ出ている」 【旧優生保護法熊本訴訟も和解】 【三角 恒 弁護団長】 「丸6年近くこういう形で裁判をやってきて、ようやく解決の場を迎えることができた」 旧優生保護法をめぐり障害などを理由に不妊手術を強制された人たちが国に賠償を求めた裁判。7月に最高裁が『違憲』と判断し、国に賠償を命じた。 これを受け、政府と原告団の和解が成立、渡邊 數美(わたなべ・かずみ)さんと70代の女性が原告となっていた熊本訴訟も11月、和解の日を迎えた。 【原告の女性】 「私の一生の中で、神様が1日だけ願いをかなえてくれるなら、子どもや家族と普通に話をしたり、普通に食事したりして、団欒の時を過ごしたかった」 その一方で、渡邊さんはことし2月に亡くなっていて、和解を見届けることができなかった。 【裁判員経験者】 「(参加して)自分にとって悪かったことはなかった。人生で経験できないようなことができた。自分が今から生きる過程でもプラスになったのではないかと思う」 導入から今年で丸15年となった裁判員制度。熊本でもことし9月までに900人余りが裁判員を経験しているという。 こうした中、12月9日から始まった強制わいせつ致傷事件の裁判員裁判で、警察官による卑劣な犯行が明るみに出た。 【被告の男(元警察官)】 「その日、交番に着任した新人の男性警官からの事前のあいさつがなくイライラしていた。また、仕事がたまっていたことなどもあり、性的欲求を抑えられなかった」 起訴状などによると49歳の元警察官の男の被告は去年2月、当時、勤務していた県内にある交番の仮眠室に部下の20代の女性警察官を呼び出し、布団に招き入れ、胸や下半身を触るなどわいせつな行為をして、けがをさせた罪に問われている。PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、現在も休職中だという女性警察官、法廷で悲痛な胸の内を語った。 【女性警察官】 「信頼していた上司に裏切られた。憧れていた警察の仕事が2年近くできず、悔しい」 検察側は「交番内にいた男性巡査に車で寝るよう指示し、被害者と2人きりになれる環境をつくるなど犯行は計画的だった」と指摘、懲役3年6カ月を求刑。 一方、弁護側は懲戒免職になるなど社会的制裁を受けているとして、執行猶予付きの判決を求めた。 熊本県警は今回の事件について「逮捕事案ではない」として公表せず、懲戒免職処分についても「被害者保護」を理由に明らかにしていなかった。 また、熊本地裁も「被害者保護」を理由に被告の名前を伏せて裁判を進めている。 注目の判決は、12月16日に言い渡される予定だ。
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