AIモデルを評価する米新興企業「ガリレオ」が累計102億円を調達
ChatGPTの人気のおかげで、さまざまな企業が自社の製品に生成AIを導入しようとしている。しかし、グーグル出身の起業家であるヴィクラム・チャッタジは、企業のAIの本格的な導入を阻む大きな要因が一つあると考えている。それは、企業が自社のツールがどれほど効果的に動作するかを十分に把握していないことだ。 「これを解決しない限り企業は、ほぼ足踏みすることになる」と、AIモデルの評価を行うスタートアップ、Galileo(ガリレオ)の共同創業者でCEOのチャッタジは述べている。 サンフランシスコを拠点とするガリレオは、ヒューレット・パッカードやコムキャスト、Twilioなどの顧客と協力し、AIツールが「幻覚」を起こしていないか、または機密データを流出させていないかをテストしている。先日、シリーズBラウンドで4500万ドル(約67億円)を調達したと発表した同社は、創業から3年間で総額6800万ドル(約102億円)の資金を調達している。 ガリレオには4つのプロダクトがある。「Fine Tune」は、企業顧客が既存のモデルを自社のニーズに合わせてトレーニングするのを支援し、独自データの取り込みを可能にする。「Evaluate」は、モデルの出荷準備が整っているか、まだ解決すべき問題が残っているかを迅速に判断する。「Observe」は、モデルが稼働した後の保守やリアルタイムテストを行う。「Protect」は、プロンプトの注入のような脅威を軽減するためのツールで、ユーザーがモデルを操作して暴走させたり、機密情報を開示させたりすることを防止する。 同社は7月に、他のモデルの性能を評価するための独自の言語モデル「Luna」をリリースした。このモデルは、応答の完全性やデータプライバシー、バイアス検出などの評価に使用できる。 ガリレオは市場にある唯一のAIの評価を行うスタートアップではない。先日は、StripeやNotionを顧客に持つ競合のBraintrust(ブレイントラスト)が、アンドリーセン・ホロウィッツが主導した3600万ドル(約53億円)のシリーズAを発表した。 チャッタジと共にガリレオを創業したヤシュ・シェスは、2013年に1週違いでグーグルに入社した。チャッタジは当時、AIプロダクトのマネージャーで、グーグルの検索エンジンにユーザーの意図を理解するために導入されたAIモデル「BERT」に携わっていた。ガリレオのCOOを務めるシェスは、その当時、グーグルの音声認識ツールに取り組むエンジニアだった。もう一人の共同創業者でCTOを務めるアティンドリヨ・サニヤルは、ウーバーやアップルでAIエンジニアリングの役職を歴任した。 ガリレオのシリーズBラウンドは、Scale Venture Partnersが主導し、インドのベンチャーキャピタルのPremji Investが参加した。他の出資元には、Citibankやデータストレージ会社Databricks(データブリックス)の投資部門、AIスタートアップHugging Face(ハギングフェイス)の創業者のクレマン・ドランジュが含まれる。