リニューアルでビジュアル一新、度数4%も発売…!あの「ストゼロ」がいつの間にか”大変化”していた、その背景は?
とはいえ、いくらアルコール度数が1%増えたところで、正直大して酔い方に違いはないような気もする。ただ、当時ストゼロを飲む若者のイメージといえば、500mlのロング缶にストローを突き刺して飲む姿だっただろう。今風に言うと、一種のミーム化を果たしたのだ。 確かに、缶に口をつけてゴクゴク飲むのではなく、ストローでチューッと吸い上げれば、一気に酔いは回る。 このようなイメージの普及も悪影響を及ぼし、ストゼロに対する風当たりは強くなったものの、どこ吹く風。2023年には-196℃製法をさらに進化させ、甘くないのに果実本来の“しっかりとした果実感”を楽しめる「-196℃ 瞬間凍結」シリーズを発売した。
さらに、ストゼロは海を超えて、台湾、タイ、シンガポール、オーストラリア、ドイツなど海外のスーパーや日本食レストランなどにも置かれるようになった。この頃にはストロング系といえば、ストゼロというイメージが定着し、完全に氷結からお株を奪い取ったかたちになる。 それがここに来て、まさかのリニューアルと4%の出現である。この背景にはやはり、世間の健康意識の変化が大きく関係していると考えられるだろう。 2月19日には厚生労働省が「500mlのビール缶程度のアルコール摂取でも、大腸がんの発症リスクが高まる」などとガイドラインを発表。「今さら何を言っているんだ?」と思うかもしれないが、「酒は百薬の長」と言われた時代は、もはや過去のものとなったのだ。
実際、アルコール度数が高い飲み物の支持は、ここ数年でグッと減っている。調査会社インテージによると、缶チューハイ市場でアルコール度数8%以上のストロング系の商品のシェア(占有率)は、2017年に金額ベースで43%だった。それが、2023年には25%程度に低下してしまったという。 ようやく、ストロング系はシャレにならない危険な飲み物として、世論とメーカーが自発的に取り締まるようになったのだ……というのは筆者の邪推だが、かつて愛飲していた身としては、寂しさも感じるものである。