今の取り組み継続を 専門家会議が会見(全文1)治療薬・診断キット登場まで頑張ろう
新規感染者は徐々に減少
さて次のスライド、よろしいですかね。これは日本の場合は、よく言われているように、諸外国に比べて限定的なPCR検査、そういう状況の中で、なぜ今回感染が、はっきりしたことは分かりませんけれども減少しているといえるのかというのは多くの方が疑問に思っていることだと思います。その答えが書いてありますが、わが国では医師が必要と判断した場合および濃厚接触者を、これらを対象にしてPCR検査を今まで実施してきているわけですが、このため感染者の全てを把握しているわけではありません。もちろんこのことはそういうことで、われわれは感染の実態の一部を把握しているにすぎないということは当然であります。 しかし下のほう、検査の件数がそれほど期待するほどぐっと伸びているわけではない、徐々にではあるけど増加している、そういう環境の中で、検査体制の環境が急に変わっているわけではなくて徐々に増加している中で、例えば陽性者数は全国的に減少傾向にあること、あるいは今言ったように東京などでは倍加時間が延びていることなどから新規感染者数の正確な数はもちろん分からないわけですけども、減少しているのか拡大しているのかという大きな傾向については、われわれは今回は徐々に減少していると、大きな傾向については間違いなくそう判断できるというふうに思っています。それがこの理由でございます。
新規感染者が減っても医療機関への負荷は続く
さて次のスライドは、これは医療提供体制への影響についてであります。まず図を説明しますね。この図は、実は日本集中治療医学会から得たデータでありまして、縦軸は人工呼吸器を装着している患者数、これがその日ごとの、いわゆるスナップショットですね、こういうことで横軸は当然ながら日です。そういう意味で、1番目、上のほうから見ていただけると思いますが、平均的な在院期間は、実は約2から3週間程度で、新規感染者数が減少傾向に移行しても入院の患者さんによる医療機関への負荷はこれから当分続くということがございます。それから医療現場の逼迫した状況は新規感染者が減少したとしてもすぐに解消するわけではないということであります。従ってしばらくは新規感染者数を減少させるための取り組みを継続することが必要だと思います。これが医療提供体制への影響。特に重症患者さんの場合には長く入院しますから、このことは非常に重要なポイントだと思っております。 さて、行動変容の状況ということですけども、前回の提言では人流、人の動き、人口密度ということだけを提示して、基に評価を行ったわけですが、今回は接触頻度という、もう少し広い概念。人流というものを含めたもっと広い概念で今回は行動変容を評価しました。その接触頻度というのは、次の書いてある、これですね。掛け算です。下のほうは人流といって前回の提言で述べたことですけど、ちょっと順序が変わって申し訳ありませんけど、人流掛ける接触率というものの積、掛け算の積が接触頻度ということで、接触率というのは何かというと、1人当たりの方が経験する単位時間当たりの接触ということで、今回はこの接触頻度というものを基に日頃の行動を評価したと、行動変容を評価したということであります。 さて、これから少し細かいメッシュの表が出ますけど、これ、細かいことは私のプレゼンテーションのあとに西浦先生に説明してもらいますが、サマリーだけを申し上げますと、渋谷駅や難波駅のような地域では、年齢群によって達成状況が異なります。30歳代以上の生産年齢人口の接触頻度の減少は明らかに8割に達していないということで、細かい年齢分布によることはあとで西浦先生に説明してもらいたいと思います。