ロシア軍部隊がまた迂闊に野外集合、ロケット弾の餌食に ウクライナ東部
ロシア軍はこの半年あまりで少なくとも5回、ウクライナ軍の米国製ロケット砲の射程圏内にある野外の開けた場所に、訓練や閲兵などのため部隊を集合させた。ウクライナ軍はその部隊を擲弾サイズの子弾数百発が散布されるロケット弾で攻撃し、現場を瞬時に血の海に変えた。 直近の攻撃は今週、ウクライナ東部ドネツク市南西部のペトロウシキー地区郊外の野外射撃練習場であったもようだ。前線からは25kmほどしか離れていない。 攻撃後の現場の様子とされる映像では、ロシア軍人少なくとも十数人の遺体が横たわり、破壊された車両も見える。ウクライナ軍のロケット弾、おそらくM142高機動ロケット砲システム(HIMARS)から発射されたGPS(全地球測位システム)誘導のM30が、訓練中のロシア兵らの上空で炸裂したことが強く示唆される。 この方面では以前にも同じようなことが起こっていた。ドネツク市南方の260平方kmほどのエリアにはロシア軍の部隊が集まっており、怠惰な指揮官も多いのだろう。ウクライナ軍は今年2月以降、今回を含めて少なくとも3回、このエリアにある訓練場をHIMARSで攻撃し、ロシア軍人計100人かそこらを殺害している。 ウクライナ軍はこの間、南部と北東部でもそれぞれ1回、ロシア軍部隊が集合しているところをロケット砲で攻撃し、訓練兵ら少なくとも計150人を殺害している。 ウクライナ軍がどのようにしてこれらの攻撃を成功させたのかはとくに秘密でもない。ロシアが拡大して2年7カ月近くたつ戦争の1000kmにおよぶ前線の両側数十kmの範囲では、ドローン(無人機)が四六時中飛び回り、目を光らせている。重量300kgのM30と単弾頭型M31は射程が90kmある。ウクライナ軍のM270多連装ロケットシステム(MLRS)などから発射される1670kgのATACMS弾道ミサイルM39型は射程が300kmあるので、ウクライナ領内のロシア側支配地域をすべて射程に収める。 ワシントンD.C.にあるシンクタンク、新アメリカ安全保障センター(CNAS)のシニアフェロー、ステイシー・ペティジョンは、ウクライナの戦場ではドローンが常にあちこちを飛び回っているために「兵力の集中が困難になっている」と指摘している。集合した部隊は、誘導ロケット弾で壊滅的な被害を受ける危険がつきまとうことになる。