ロシア軍部隊がまた迂闊に野外集合、ロケット弾の餌食に ウクライナ東部
ロシア軍は兵士や指揮官の訓練不足で人的損害がかさむ悪循環
もちろん危険なのはウクライナ側も同じだ。実際、ウクライナ軍の訓練兵も時折ロシア軍のロケット弾などで攻撃されている。とはいえ、失っている人員の数はロシア軍のほうがはるかに多い。英誌エコノミストは7月、米国防総省の流出文書をもとに、ウクライナで死亡するか負傷するか、捕虜になったロシア軍人は最大72万8000人に達すると報じている。 ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は今年2月、2022年2月の戦争拡大から当時までの2年間に、ウクライナ軍人3万1000人が死亡したと述べている。その後の7カ月あまりで戦死者数が数千人以上増えているのは間違いない。戦傷者は一般に戦死者の4倍にのぼるとされるので、ウクライナ軍の死傷者は2月時点で少なくとも15万人、現在では20万人近くに達しているのかもしれない。 ロシアの人口は約1億4400万人とウクライナの3800万人よりはるかに多いとはいえ、甚大な人的損害はロシア軍に偏って大きな影響を及ぼしているとみられる。ロシア軍は、ちょうど戦場での損耗を補えるほどの月に3万人のペースで新兵を動員し、大急ぎで訓練を施して前線に送り込んでいる。 規律と能力は低下している。ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は「ウクライナにいるロシア軍は機動装備の損失と司令部および部隊の訓練不足が原因で、機動戦を遂行する能力がきわめて制限されている」との見解を示している。 ロシア軍が大勢の部隊をウクライナ軍の最も危険なロケット砲の射程圏内で集結させては、その餌食にさせることを懲りずに繰り返しているのも、同じ訓練不足から説明できるだろう。
David Axe