岡田将生が『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』を通して得た気づき「大きな反省と大きな経験を得た作品に」
『カメラを止めるな!』でも知られる上田慎一郎監督の最新作『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』が2024年11月22日(金)に公開される。 【写真を見る】映画『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』で岡田将生と共演する内野聖陽 本作はソ・イングク、スヨンとマ・ドンソクが共演した韓国ドラマ『元カレは天才詐欺師~38師機動隊~』を原作に、上田監督のもと豪華キャストと精鋭スタッフが集結して作られた新感覚のクライムエンターテインメント。 公務員の熊沢二郎と異色のタッグを組む天才詐欺師役として出演しているのがNHK連続テレビ小説『虎に翼』や映画『ラストマイル』で鮮烈な印象を残した岡田将生だ。天才詐欺師というトリッキーな役を岡田はどのように演じたのか。今回は岡田の演技との向き合い方に迫った。 ――『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』は公務員と詐欺師っていう斬新な組み合わせの作品ですが、岡田さんはこの特殊な関係性についてどう思いましたか? 「最初にこの作品に興味を持ったのはそこなんですよ。詐欺師同士の話はよく見ますが、そこに公務員が入るというのはあまり聞いたことがなかったので、すごく新鮮に感じましたし、脚本を読んだ時に丁寧に作り込まれた作品だったので素敵だなと思いました」 ――岡田さん演じる氷室マコトは天才詐欺師役として手腕を発揮していますが、キャラクターについてはいかがですか? 「氷室はすごく悲しい人だなと感じましたね。感情は表に見せない役ですけど、単なる復讐の話にはしたくないという思いで演じようと決めていたんです。復讐に至るまでの過程が重要で、そこまではきっちりと氷室と向き合って演じていれば大丈夫だろうと思っていました」 ――氷室は何を考えているのかわからない部分もありますが、復讐までの過程がすごく丁寧に描かれていますよね 「氷室っておそらく一人でやっていけるのに、なぜチームで動いているのかが最初は不思議だったんです。一人で稼いで生きていけるはずが、意外と人に頼っていて、人との繋がりを求めている。自分の真相の部分は見せないけれど、それでも誰かがついてきてくれるということはそれだけ氷室に魅力があるということでもあると思うんです。それを皆さんが汲み取ってくれているから、氷室というキャラクターが成立しているのかなと感じました」 ―――氷室には自然と周りを惹きつける力がありますよね 「そうですね。多分本人は何もしてないはずなんですけど、人が寄ってきてしまう人間性があるんですよね。そういうのは素敵だなと思います」 ――天才詐欺師という設定ですが、天才詐欺師感はどのように作り上げていったのでしょうか? 「立ち振舞いをまずは意識しました。着るもの、乗っているものを一つひとつ細やかにしていかないと、外からは天才っぽく見られないので、そこは監督とも相談しながら作り上げていきました」 ――内野聖陽さんとの掛け合いについてはいかがでしたか? 「やはり熱量がありました。ただ、今回は氷室という役を軽やかに演じたいという思いがあったので、全てそういうのはあえて受け流して、自分のペースでお芝居をすることを心がけました。そういうバランスは内野さんも考えてくださっていたと思うので、そこに甘えながら演じさせていただきました」 ――内野さんとのシーンで印象に残っていることはありますか? 「熊沢さんの自宅でご飯を食べているところですね。あのシーンは氷室の人物像に近づく大切なシーンだったのですごく覚えています。内野さんと何度もアイデアを出し合い演じたのですが、内野さんのお芝居の仕方がグサリと刺さって逃げたくなってしまったんです。なんだかこの人だったら言ってもいいのかなと思わせてくれるというか。だからこそ、氷室は熊沢さんを選んだと思います」 ――熊沢に対してはこの人だったらという信頼が最初からあったんですかね 「そうだと思うんですけどね...。何なら熊沢さんがいなくても、氷室は行動できてしまうと思うんです。わざわざ熊沢を自分の仲間に引き入れるということは、何か人間的な理由があるからで。僕はその考え方で最初から演じていました」 ――食事以外のシーンでも内野さんとは細かいところを話し合われたのでしょうか? 「この作品は回収しなければいけない部分がたくさんあるので、その整合性を取るためにはしっかりと皆さんで共有しなければいけませんでした。映画の撮影は必ずしも順撮りで撮影しているわけではないので、このシーンのこのキャラクターがどのような立ち位置なのかわからなくなってしまうことがあるので、自然と話す時間が増えていきましたね」 ――本作では『虎に翼』でも共演されている上川周作さんとも共演されています。上川さんの印象はいかがでしたか? 「この作品の撮影中に上川くんが義理の兄になることはわかっていたので、会うのが楽しみだったんです。上川くんはほんとに素敵な役者さんで、現場で思っていることや考えていることを身体で表現してくれるので演じていてすごく楽しくて。上川くんは朝ドラの撮影が緊張するとおっしゃっていたので、『本当に家族のようなチームになるし、とても素敵だから、何も心配ないよ』と伝えました」 ――職業としては異色なコンビではありますが、所々では息のあった掛け合いも見せていました。岡田さんは理想のバディの相手を選ぶなら誰を選びますか? 「答えになっていないかもしれないですが、犬かもしれません。子どもの頃から犬と猫がいる環境だったので、実家に帰ると犬が僕を求めてくれますし、犬と猫にはたくさん助けられてきました」 ――癒しをくれる存在というか 「そうですね。一緒にベッドで疲れを取るっていう(笑)。やっぱり、一緒に寝てぺろぺろされて起きて仕事に行くほど嬉しいものはないんですよね。あっちは餌くれなんですけどね(笑)」 ――『ザ・トラベルナース』『虎に翼』『ゴールド・ボーイ』『ラストマイル』など、この1年の活躍について、ご自身でどのように感じていますか? 「今年は人様の目に触れるようなお仕事をしようと心がけてはいたものの、思っていたよりも多くの方に見ていただけて、まずはひと安心しました」 ――その中で『アングリースクワッド』は岡田さんにとってどのような作品になっていきそうですか? 「『アングリースクワッド』の撮影が終わった後に反省することもあったのですが、こんなに感情的に仕事ができたことがなかったので、とてもいい経験になりました。僕はいい作品を作ることを一番に考えているので、皆さんと現場でアイデアを出しながら作っていました。関わった以上は絶対にいい作品にしたいという思いがあって。それはどの作品も同じようにあるんですけど。それが『虎に翼』でも活かされた部分だったので、『アングリースクワッド』に出会えたおかげで、自分で発言をすることの大切さに気づきました。だからこそ、10年、20年経っても、この作品は忘れない作品になっていると思いますし、人間的にも俳優としても、大きな反省と大きな経験を得た作品になると思います」 ――これまでいろんな作品を経験している岡田さんであっても、新しい発見があったんですね 「そうですね。自分にとって大きく変わったポイントでした。多分5年後に『アングリースクワッド』での自分の姿を思い返すだろうなという気がしていて。最近は若い俳優さんとお仕事をする機会が多くなってきたのですが、アイデアを出したり発言することが怖いと思っている人とそう思わない人の両方がいる中で、自分が実際に葛藤した経験を伝えられると思うんですよ。そういった先々のことを考えても、忘れられない作品になりました」 ――岡田さんは20代を経験して役者という仕事に対しての向き合い方は変わりましたか? 「変わりましたね。映画を作ることが大好きなので、もう少し違う側面から関わりたいとか、早い段階から制作をしたいとか、いろんな思いが芽生え始めました。でも、一つの映画を作ることはすごく大変じゃないですか。たくさんの方々が関わっていて、そのうちの一人になれているのは本当に嬉しいんですけど、20代とは違う関わり合いを今後はしていきたいなと思っています」 ――最後に『アングリースクワッド』の魅力を教えてください 「上田監督の『カメラを止めるな!』を見た時にエンタメにする力をまざまざと見せつけられました。その監督がまた映画を撮るとなった時にどんなエンタメを撮るんだろうと思ったら、想像以上のものができあがったので、ぜひみなさんには映画館で笑ってスッキリして帰ってもらえたら嬉しいです」 取材・文=川崎龍也
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