タイ矢崎電線、アルミ電線の新一貫工場建設。現地電力インフラ需要捕捉
矢崎総業グループのタイ矢崎電線はアルミ電線を製造する新工場を建設する。同国内で拡大が見込まれる電力インフラ関連需要に対応することなどが狙い。アルミの溶解工程から一貫して有する大型工場として計画しており、同国内の既存拠点の敷地内に建設。建屋面積は約2万平方メートルで、溶解能力については現在の月間850トンから2500トンに拡大。2025年7月に稼働する予定で、アルミ電線の製造能力は大幅に拡充される。投資金額は約65億円になると見込んでいる。 同社は矢崎グループ初の海外法人として1962年に設立。建設・電力用電線を製造販売する同国大手の電線メーカーとなっている。アルミ電線の新工場を建設するのは、首都バンコク中心部から東に約40キロメートルに位置するスワンナプーム工場の敷地内。 同国では経済発展が見込まれており、電力網などの増強も国を挙げて進むことが予測される状況。電力関連市場でアルミを電気導体として用いる電線の需要が大幅拡大すると見込んでおり、新工場建設と設備導入により成長市場を捕捉する能力を確保する。加えて同国の電力関連分野では入札1案件当たりの規模が非常に大きくなっていることから、その受注案件の規模に適した生産体制を構築する狙いもある。 新工場は24年6月に着工し、25年5月に完成する予定。溶解設備に加えて圧延機や伸線機、撚線装置や押出装置などを導入する計画となっている。 また同社では矢崎グループの自動車部門に車用電線の材料となるアルミ合金線を供給する役割もある。自動車電動化に伴い軽量化に寄与する車載アルミ電線の材料も需要が見込まれる状況。新溶解炉は純アルミに加えて車電線向けのアルミ合金も溶かすが、設計の工夫などにより材料切り替え時の段取り時間が従来よりも短い高効率なタイプの導入を想定している。