路線価 松本駅前が32年ぶり上昇 長野県松本市
関東信越国税局は1日、相続税や贈与税の算定基準となる令和6年分の長野県内の土地の路線価(1平方メートル当たりの価格、1月1日時点)を公表した。松本税務署管内の最高地点(最高路線価)は松本市深志1の松本駅前「しらかば大通り」で、前年比2・5%高い20万5000円となった。同地点が上昇するのは平成4(1992)年以来32年ぶりで、新型コロナウイルス禍から脱して観光客が戻り、不動産市場にも活気が戻ってきている状況をうかがわせる。 松本税務署管内の主な6地点のうち、上昇が4地点、横ばいが2地点で下落はなかった。県不動産鑑定士協会の会長で、中信地域の評価に携わった茅野不動産鑑定(松本市島立)の茅野武弘不動産鑑定士は「松本市と塩尻市の市街化区域の土地は需要が供給を上回っている。新たな物件がなかなか出てこないため競争が働いて、価格がわずかに上振れしている」と分析する。 6地点のうち、最も上昇幅が大きいのが「しらかば大通り」で、茅野さんは「松本駅前は周辺で高額取引もあり、投資も入っている。ただ、マンション用地として使えるまとまった土地は飛ぶように売れるが、小さな土地は残ってしまう傾向があり、2極化が進んでいる」と話す。 松本市村井町南1の「JR村井駅東側」は前年比2・4%高い4万3000円だった。大型ショッピングセンター・イオンタウン松本村井が新しくなり、JR村井駅舎の建設や民間の宅地開発も進んでおり「変化している地域で、不動産市場にも刺激になっている」という。 松本市中央4の「やまびこ道路イオンモール松本東側」も引き続き上昇して前年比1・3%高い7万6000円、同市深志2の「井上百貨店北側」は横ばいの13万5000円だった。 県内の標準宅地の平均値は、横ばいから0・4%の上昇に転じた。上昇するのは「しらかば大通り」と同様に32年ぶりとなる。
市民タイムス