乗って納得の「ロープライス実力派」 ホンダWR-Vは背伸びしない、等身大のパートナー
広く薦められる実力派、あなたが選ぶならどっち?
サスの基本形式はホンダFF車の標準型。AHA(アジャイル・ハンドリング・アシスト)は採用されていないが、ハンドリングの基本特性は共通だ。ロールや回頭の揺れ返し少なく、収まりいい操縦感覚で中高速域での安定性と穏やかで素直なラインコントロール性を旨とする。切れ味とか手応えは薄いのだが、自然体の馴染み良さがある。 乗り心地もそうだが、フットワーク全般が適度に緩い。サスストローク制御でも車軸周りも規制があまい印象がある。誤解なきよう付け加えるなら曖昧という意味ではない。逃げとか往なしであり、その巧みなバランスが。 街乗りにも使いやすいサイズで4名乗車で荷物も沢山積める。高速道路や山岳路の長時間のドライブでも運転疲れや乗り疲れしにくい走行特性。プレミアムとか高級という視点で惹かれる部分は少ないが、和めるというか「ふつうが素敵」という感じなのだ。 WLTC総合モード燃費でヴェゼルe:HEVのZと比較すると、ガソリン単価170円/Lで見積もっても車両価格差を回収するには14万km前後の走行距離が必要になる。すでにティザーサイトで公開されているMCモデルでは価格差が拡大する可能性も高い。10万km以上乗るならe:HEVモデル狙いでヴェゼルを選ぶのもいいが、10万km未満ならWR-Vのほうが費用対効果で有利だ。 実利優先と言えば聞こえが悪いが、現実を見据えたウェルバランスがWR-Vの見所であり、選び方も楽しみ方も含めて背伸びしない実践派向けのコンパクトSUVなのだ。
試乗車のスペック
価格:248万9300円(税込 オプションなし) 全長×全幅×全高:4325×1790×1650mm 燃料消費率:16.2km/L(WLTC) 駆動方式:FF 車両重量:1230kg パワートレイン:直列4気筒横置き1496cc 使用燃料:ガソリン 最高出力:118ps/6600rpm 最大トルク:14.5kg-m/4300rpm ギアボックス:CVT タイヤサイズ:215/55R17(フロント)215/55R17(リア)
川島茂夫(執筆) 小川亮輔(撮影) 香野早汰(編集)