米大統領選、トランプとハリス「鉄道政策」の争点 バイデンが進める鉄道復権の動きは継続するか
■トランプ・トレインとは何か? ちなみに、トランプ陣営には「トランプ・トレイン」という旗があり支持者の多くが掲げている。この旗には、蒸気機関車のイラストが描かれており、一見すると鉄道肯定論に見えるが、実はそうではない。この「トランプ・トレイン」というのは、2020年に自動車による編隊(トレイン)を組んで高速道路を占拠し、民主党の選挙運動車両の通行を妨害した「壮挙」を自画自賛するもの(実際は違法行為として起訴され公判中)である。故意に発生させた渋滞で動かなくなった政敵の車列を、嘲笑を込めて「トレイン」と呼び、そのことを機関車のイラストで象徴するというのであるから、むしろ、トランプ支持者がそこまで鉄道を嫌っているのかという証拠とも言える。
鉄道政策1つとっても激しい対立構図の中にあるのが今回の大統領選であり、そこには候補が特別列車を仕立てて各州を遊説するような「懐かしい光景」は見られない。演説会場から演説会場へと候補たちはジェット機やバスで忙しく移動し、それとは別にSNSを主としたネットによるメッセージ発信が中心の選挙戦に様変わりしているからだ。けれども、動き始めたアメリカの鉄道復権が継続するかどうかは、重要な選挙戦の争点になっていることは間違いない。
鉄道ジャーナル編集部/冷泉 彰彦 :作家