パリ五輪の難コースに挑むマラソン前田穂南 「20g軽くなった」新厚底シューズの威力
女子マラソンで2大会連続五輪代表の前田穂南(27)=天満屋=が新たな相棒とともに、パリ五輪のスタートラインに立つ。1月の大阪国際女子マラソンで2時間18分59秒の日本新記録をマークした際にも着用していた厚底シューズに改良を重ねた新型モデル。以前のモデルに比べて約20グラム軽量化されたのが特徴で、前田も「軽くて、足が前に出やすくなった」と好感触を口にしている。アップダウンが激しい難コースに挑む上でも大きな武器になりそうだ。 前田がパリ五輪本番で履くシューズに選んだのは、アシックスの最新型の厚底シューズ「METASPEED EDGE PARIS」(メタスピードエッジパリ)。モデル名に「パリ」の名前を冠した鮮やかな濃いオレンジ色のシューズだ。メタスピードパリシリーズは2種類あり、エッジパリは、足の回転が早いピッチ走法向けに開発された。 重量は片足185グラム。アシックスの担当者は「素材が軽くなったので、(前のモデルに比べて)約20グラム軽量化している」と話す。また、前足部の厚みが約3ミリ増し、反発力が得やすく、クッション性も高まったのが特徴。パリのコースには石畳の部分もあるが、前田は「路面が硬かったり、ぼこぼこしているところがあったりしても足には優しいし、対応できそう」と口にした。 メタスピードエッジパリは3月から販売されていて、前田も4月から練習で履き始めた。五輪前の最後のロードレースの位置付けで出場した5月12日の仙台国際ハーフマラソンでは、練習を再開して間もない時期だったにもかかわらず、1時間11分17秒で優勝。軽量化されたのはわずか20グラムだが、前田は「足が前に出やすく、アップダウンのあるコースも問題なく走れると感じた」と話している。 パリ五輪のマラソンコースは起伏が激しく、すでに「五輪史上最難関」ともいわれるコースになっている。14キロ付近から約6キロ上り坂が続いた後、28キロ過ぎに最も傾斜のきつい坂があり、29キロ付近から一気に駆け下りることになる。4月に現地でコースを視察した前田は「過酷なコースで、絶対に足に(ダメージが)来ると思った。しっかりと足作りをしていきたい」と気を引き締めた。6月中旬からの米国での高地合宿でも、起伏を意識した練習メニューをこなし、五輪に備えるつもりだ。 前田は東京五輪ではコンディション調整に苦しんだこともあり、33位と不本意な成績に終わった。当時はまだ薄底シューズを履いていたが、東京五輪後から好記録を狙うために厚底にシフトした。最初はなかなか足にフィットせず、故障も繰り返したが、練習を重ねるうちに足にも合うようになり、スピードも上がるようになった。