映画「オッペンハイマー」が被爆地・広島で見られる理由 「映画だけでは描ききれない原爆の恐ろしさを伝えたい」 映画をきっかけに広がる思い
中国放送
アカデミー賞の7部門を受賞した映画「オッペンハイマー」が全国公開されて4日で1週間です。原爆を開発した物理学者を描き、日本でも話題となっていますが、特に被爆地・広島と長崎で多くの人に見られているようです。 【写真を見る】映画「オッペンハイマー」が被爆地・広島で見られる理由 「映画だけでは描ききれない原爆の恐ろしさを伝えたい」 映画をきっかけに広がる思い ◇ ◇ ◇ 映画「オッペンハイマー」は、第2次世界大戦のさなか、原爆の開発を指揮したアメリカの物理学者、ロバート・オッペンハイマーを描いた作品です。 “原爆の父” と呼ばれる一方で、自らが開発した原爆が広島と長崎に投下され、想像を絶する被害が出たことを知り、苦悩する姿が描かれます。 クリストファー・ノーラン監督の作品で、アカデミー賞では「作品賞」など7部門を受賞して話題となりました。 日本での公開から1週間―。広島市内の映画館では大勢の人が訪れていました。 観客たち 「前からオッペンハイマーを知っていましたが、映画でやるので、知りたいと思って来ました」 「クリストファー・ノーラン監督の作品は好きなんですけど、原爆がどういうふうに描かれているか興味があります」 被爆国である日本での公開を巡って当初、議論があったといいますが、配給元などによりますと、3月29日の公開初日から3日間の動員数は全国で23万人を超え、興行収入は約3億8000万円。これはことし公開された洋画の第1位の記録です。 重いテーマで3時間に及ぶ作品としては、異例ともいえるヒットということです。 特に、被爆地の広島と長崎で映画への関心の高さがうかがえます。ここ数年で全国公開されたハリウッド映画などの洋画と比べても、広島・長崎の動員数のシェアは全国的にも高いということです。 映画を見た人(大学生) 「広島に来て初めて原爆について深く学び、戦争にも興味があったので。アメリカ側の感想や意見も知りたかった。映画はすごい衝撃でした」 映画を見た人(肉親が被爆) 「アメリカでこういう映画が作られたということは一定の評価ができると思うけれど、あのきのこ雲の下で父・母・祖母・祖父が倒れていたと思うと…。やっぱりアメリカの科学者の成功の話として受け止めてほしくない」