プレシーズン初戦からいきなり3Pシュートを決めたグリズリーズ・河村（ロイター）

　NBAグリズリーズが19日（日本時間20日）、日本人4人目のNBA選手を目指す日本代表の河村勇輝（23）と2WAY契約を結んだことを正式発表した。 【写真】ジェンキンス監督から指示を受けるグリズリーズ・河村勇輝 　今夏のパリ五輪では1試合平均20・3得点、3・3リバウンド、7・7アシストという素晴らしい数字を残した河村。9月にグリズリーズと「エグジビット10」契約を結んでいた。 　10月1日（同2日）に「17番」を背負ってキャンプイン。キャンプでは、英語通訳をつけずにチームに馴染んで多くのコミュニケーションを取っていた。「やれるという感覚が凄く強かった」と手応えも感じていた。 　そして6日（同7日）に行われた公開練習イベントでの新人選手によるダンスコンテストにも緊急参加。河村はフロアMCから「ユウキ！ユウキ！」とコールされる中で、コート中央で左人差し指を突き上げた腰振りダンスを披露。さらにはチームのエースであるジャ・モラントがよく披露するステップダンスをまねすると会場は大きく盛り上げた。河村のダンスを見ていたモラントを誘って豪華なコラボレーションとなった。ダンスが終了すると河村とモラントはハイタッチ。優勝を果たした。 　身長1メートル72の河村はプレーでもいきなり存在感を示した。7日（同8日）のプレシーズンデビュー戦となったマーベリックス戦では最終クオーターに出場すると、いきなり3Pシュートを決めるなど積極的なプレーで5得点3アシストとアピール。 　本拠地デビュー戦となったプレシーズン2戦目となったホーネッツ戦では最終クオーターから出場しわずか1アシストに終わった。試合後には「反省点はいっぱいある。もっとアタックしないといけない。その辺の判断を成長させないと、NBAではやっていけない」と反省点と課題を挙げた。 　プレシーズン3戦目となった敵地ブルズ戦では第1Qから途中出場。2戦目の反省点を生かして得意のノールックパスなどプレシーズン最多となる8アシストを記録してチームの逆転勝利に貢献した。 　プレシーズンマッチ4戦目となった敵地ペイサーズ戦では全米を驚がくさせた。第1Qから途中出場すると前半から6得点1アシストと躍動。第3Q残り5分6秒には右コーナーからドリブルで侵入。逆サイドのコーナーからゴール下へカッティングしてくるジェイ・ハフへ絶品のノールックバウンズパスでアシストを決めた。このプレーが米スポーツ専門局「ESPN」の人気番組「NBA　Today」が選ぶプレーハイライトで1位を獲得。この試合ではプレシーズン最長の25分21秒出場で10得点7アシスト1リバウンド1スティールをマークした。シュートは全て3Pシュート。7本試投で3本成功。FG成功率は42.9％だった。 　最後のアピールとなる運命のプレシーズンマッチ最終戦。チームは開幕戦に向けて、主力選手を中心としたローテーションで前半から戦ったため河村の出場はなかった。現地の放送でもベンチにいる河村をアップで映し出すほど期待されていた中で、第4Qにチャンスが訪れた。残り8分3秒からコートに立つと、鋭いパスでアシストを決めるなどラストアピール。プレシーズンマッチ全5戦で平均3・4得点、4・2アシストという数字を残した。 　地元紙「ザ・デイリー・メンフィアン」のドリュー・ヒル記者によると、試合後にチームのエースであるジャ・モラントは「勇輝はいつも主役の座を奪っていく。だから俺の親友である勇輝に声援を送ってくれ」と河村との関係性がわかるようなコメントをしていたという 　そして主力のマーカス・スマートも「勇輝は教えることのできない独特なものをゲームにもたらす。彼は自分のスキルセットのすべてを自分の有利に活用している。小柄なので、時には彼が見えないこともある。どこからともなく現れる。彼はシュートも決められて、ボールハンドリングもパスもうまい。みんなが彼を過小評価している。だから彼はそれを自分の有利に利用している」と河村を絶賛していたようだ。 　全てのプレシーズンマッチ終えて、2WAY契約を勝ち取った。これによってNBA・グリズリーズとGリーグ・ハッスルの両方でプレーできることになった。バスケットボールの夢を追いかけるために今夏に渡米した河村がNBAの現役選手の中で最も身長が低い選手として日本人4人目そしてBリーグ初のNBA選手誕生となる。