「優勝請負人」山本由伸、MLB1年目戴冠 入団決め手「勝ちたい」結実 来季大谷と2枚エース
<ワールドシリーズ:ヤンキース6-7ドジャース>◇第5戦◇10月30日(日本時間31日)◇ヤンキースタジアム 【写真】真美子夫人 ベッツ妻&フリーマン妻と豪華3ショット ドジャース山本由伸投手(26)が、メジャー1年目で世界一の美酒に浸った。ワールドシリーズ第2戦で勝利投手となり、第6戦までいけば再び先発が確実だった右腕は、昨オフに投手史上最高額となる12年総額3億2500万ドル(当時のレートで約455億円)で移籍。今季途中、故障で長期離脱を経験したものの、ポストシーズンでは沢村賞3回の底力を発揮した。来季以降は、投手として復活する大谷と並ぶ「2枚エース」として、常勝軍団の先頭に立つことになる。 ◇ ◇ ◇ この日だけは無礼講だった。テレビのインタビュー中、大谷からシャンパンを浴びた山本は「ウォー、翔平、翔平」と奇声で応じた。「本当に濃い1年でした。最高な形で終われて良かったです」。右肩腱板(けんばん)痛で途中離脱したものの、ポストシーズンでは快投を演じた。争奪戦の末、大谷と一緒に新天地へ飛び込んだ24年は、世界一の祝宴で幕を閉じた。 メジャー移籍交渉が大詰めに入った昨年12月。ドジャースをはじめ、ヤンキース、メッツなどの強豪からも熱いラブコールを受けた。それでも、山本はドジャース入りを決断した。「とにかく勝ちたいと思ったからです」。交渉の最終段階では、直前に入団発表を終えていた大谷も、山本との交渉に直接出馬した。無論、尊敬する大谷の言葉も、最終的に後押しになった。 その一方で、山本はあらためて当時の状況を明かした。「大谷さんが決まった時は、僕(の交渉も)だいぶ進んでいたので…。(大谷の存在は)決断のひとつではありましたけど、また別の形で、どちらでもあるという感じでしたから」。入団会見の際「大谷さんがいなくても…」と明かしたのは、紛れもない、本音だった。異例とも言える12年契約のオファーを「ありがたいと思いました」と感激しただけでなく、どこよりも本気で世界一奪回を掲げるドジャースの筋の通った気概に、心を動かされた。 予期せぬ故障離脱を経たとはいえ、1年目で頂点への道筋を経験した。「本当にチームメートがすごい。チームを編成している方を含め、全員がすごいなと思っています」。投手大谷が復帰する来季。先発陣の先頭に立つ山本の覚悟は、先輩の大谷に、勝るとも劣らない。【四竈衛】 ▼大谷と山本が初のワールドシリーズ優勝。日本人選手が同シリーズに出場して優勝したのは13年上原浩治、田沢純一(ともにレッドソックス)以来11年ぶり。ドジャース所属選手では初めて。大谷は16年、山本は22年に日本シリーズを制しているが、日米両方でシリーズに登録されてVは井口資仁、田口壮、松坂大輔、岡島秀樹、松井秀喜、上原浩治に次いで7、8人目になる。山本のように1年目で世界一は05年井口、07年松坂、岡島に次いで17年ぶり4人目。