不安高まる“ミネラルウォーター”のPFAS汚染…「エビアン」「クリスタルガイザー」「ペリエ」海外ブランドに対応を質すと
ペットボトルの国産ミネラルウォーターからもPFAS(ピーファス)が検出されたことが大きな話題となった。一方、エビアンやクリスタルガイザー、ペリエなど、日本でも流通している「外国産ミネラルウォーター」の安全性はいかがなものなのか。各ブランドに対応を尋ねてみると――。 【写真】あなたが飲んでいるブランドは? 週刊新潮が調査した国産ミネラルウォーターの数々 ***
PFAS(ピーファス)とは、1万種以上あるとされる有機フッ素化合物の総称で、自然界にはほとんど存在せず分解されにくい性質のため「永遠の化学物質」とも呼ばれている。 一度でも体内に入れば臓器などに蓄積し、排出するには約40年もの時間がかかるという試算もある中、腎臓がんをはじめ、脂質異常症や免疫不全、胎児・乳児の発育低下など、様々な健康リスクが指摘されているのだ。 中でも、PFOS(ピーフォス)、PFOA(ピーフォア)と呼ばれる2つの化学物質は特に有害性が高いとされ、国際条約の規制対象で、日本でも輸入や製造が禁止となっている。 そんな“問題物質”が、全国の水道水から検出されていることが大きな話題になっているわけだが、そのリスクは、ペットボトルで販売されるミネラルウォーターにも及んでいたという。 朝日、読売の両新聞が、「神戸市で製造されたペットボトルのミネラルウォーターからPFASが高濃度で検出されていた」と相次いで報道。しかし「今年1月には汚染は改善された」として、同市は商品名や製造業者を非公開としているため、消費者の間では不安が高まっているのが現状だ。
エビアン、クリスタルガイザーは
そこで本誌は、ミネラルウォーターを扱う主要メーカーへ一斉取材を敢行。大手スーパーやコンビニ、通販などで売れ筋とされる国内製品46本の発売元のほか、主要な外国産の輸入代理店3社に質問状を送付し、PFASの濃度を検査しているか、検査結果の具体的な数値、最新の検査日や頻度を尋ねた。 その中から、日本でも流通している外国産ミネラルウォーターを扱う3社の回答を紹介しよう。 たとえば「エビアン」「ボルヴィック」などを販売するダノンジャパンは以下の通り回答した。 〈ダノングループは、製造しているナチュラルミネラルウォーターにおいて、水源から最終製品までの全段階を対象として、PFAS含有検査を含む、数多くの厳格な検査を実施しています。これらの製品はEUおよび各国で適用される規制を遵守するとともに、社内で設定された安全性と品質に関する非常に高い基準を満たしています。〉 さすがにPFASの検査は実施しているものの、具体的な数値や検査日は明示せず、というわけだ。 なお「ペリエ」を販売するネスレ日本も〈厳格な品質管理を適用〉などと似たり寄ったりの回答。「クリスタルガイザー」を販売する大塚食品は、〈PFOA、PFOSともに不検出〉としているもの、やはり具体的な数値や検査日は明かさなかった。 PFAS対策の進む欧米と違い、我が国にはPFASに対する明確な法的規制がまだない。それゆえに曖昧な説明でも通用すると思われたのか。 PFAS問題に詳しい科学ジャーナリストの植田武智氏が言う。 「PFASに対しての社会的関心がここまで高まっているにもかかわらず、企業が情報公開に対して積極性を欠くのは、いかがなものかと思います。消費者の期待に応えているとはとても言えません」 「週刊新潮」では、国内主要ブランド46本についても質問状を送付し、「い・ろ・は・す」や「サントリー天然水」など、各商品の安全性を「三ツ星」で評価。「星」がつかなかった要注意商品や、「三ツ星」を獲得した安全性の高い商品まで、有料版の記事【ミネラルウォーターでも発覚“発がん性物質”「PFAS」 安全な商品はどれ!? 主要ブランド46本に質した全回答】で詳報している。
デイリー新潮編集部
新潮社