デザインと性能のバランスがいい14インチゲーミングノートPC
ディスプレイとサウンド
高性能なOLEDディスプレイ Zephyrus G14のもう1つの大きなアップグレードは、ディスプレイがミニLEDからOLEDへ変更されたことです。これは、ゲーミング/非ゲーミング問わずノートPCではまだ珍しいものです。現時点ではOLEDのほうが電力効率が若干よく、色のコントラストや深い黒の表現もよいというのがほぼ定説です。 Zephyrusの14インチOLEDは基本的に素晴らしく、アップグレードする価値があるでしょう。また、最小限のベゼル幅と高い輝度のおかげでさらによくなったと実感できます。 2,880×1,800、16:10のスクリーンは、HDRのピーク輝度が500nitに達します。このスペックは仕事にもゲームにも、あるいは動画視聴にも十分なものです。また、最大リフレッシュレートは120Hz、応答速度は0.2ms、とほとんどのゲームで満足できます。 VESAのDisplayHDR規格の「True Black 500」認証のスクリーンは、このサイズとしては贅沢とも思えるくらいです。ディスプレイはNvidia G-Syncもサポートされているのでテアリング(映像が乱れる現象)も軽減されます。 テストでは『Warhammer 40000: Darktide』でまれに途切れたりちらつきがありましたが、ほかのゲームでは快適にプレイできました。 サウンドについて ディスプレイについては事前に調べていたスペックと照らし合わせると、驚くべき結果というわけではありませんでした。むしろサウンドによって驚くほどゲーム内での没入感を感じました。小さなノートPCとは思えぬ音質は、完全な立体音響とはいわないまでも非常に高いものです。 2つのサイドスピーカーの後ろに4つのウーファーが搭載されており、小型ながらパワフルなサウンドが生み出されます。
パフォーマンス
さて、改めてZephyrus G14が"ゲーミングノートPC"であることに目を向けてみましょう。このシリーズは、「シャキーン」といった剣を抜いたような音ともに起動して、ROG(Republic of Gamers)というロゴが現われるわけですしね。 今回のレビューでは、CPUにベースとなるAMD Ryzen 9 8945HS、GPUにNvidia GeForce RTX 4060、メモリ16GBのバージョンでした。これはZephyrus G14 2024年モデルのなかで最も安いものです。その次のオプションではGeForce RTX 4070とメモリ32GBを選べます。 GeForce RTX 4060と4070の比較よりも、最大の懸念点となるのはメモリでしょう。先にも述べたようにメモリはマザーボードにはんだ付けがされているため、すぐにアップグレードはできません。 16GBのメモリは、今日のゲームにおいて最低基準といえる容量です。プログラムやゲームのロード時間はこの価格帯のノートPCに期待されるよりも長く感じられました。ほとんどのアプリケーンにとって16GBは少なすぎるので、やはり32GBを選択することをオススメします。 CPU性能 AMDのチップセットについてはあまり文句などはありませんね。Ryzen 9 8945HSはRyzen 9 7940シリーズと同等であることは知られていますが、クロック数はわずかに高く、最大で5.2GHzを誇っています。 GeekbenchやCinebenchなどでのCPUベンチマークでは、シングルコア、マルチコアの両方で最近の第14世代のIntel Core i9プロセッサーやCore Ultra 7プロセッサーの一部と、同等か少し劣るくらいのスコアでした。 とはいえ14インチノートPCとしては安定しているといえます。ハードなレンダリング作業において最適な選択肢といえるわけではないものの、Blenderのベンチマークスコアでは高い数値が出ていました。 GPUの性能 Zephyrus G14の変更について注目すべき点として、全体の設置面積を減らすためにわずかな妥協がみられるということです。 GPUのTGP(最大消費電力)は「Turbo」モードで65Wとなっています。NvidiaのDynamic BoostによってCPU-GPU間で一部の電力を移して25Wを足しても、通常の上限(RTX 4060で115W)には達しません。 RTX 4060では、より重いタイトルで高い設定にして60fpsを実現するにはいろいろと工夫が必要になります。 『Warhammer 40000: Darktide』のようなタイトルでは、レイトレーシングを有効にしないと高設定で30fpsを実現できません。しかし、DLSSを有効にすることで60fpsを超えることはできます。多少のちらつきなどはありますが、ゲーム画面は美しく映ります。『Control』でも同様のパフォーマンスを確認しましたが、最高設定で40fps以上にするのには苦労しました。 『バルダーズ・ゲート 3』では、屋内フィールドでは60fps、アクト3の路上では30~40fpsでした。Nvidiaのシェーディング設定を変えるといずれもフレームレートが2倍になります。 『Cyberpunk 2077』については嬉しい驚きがありました。レイトレーシングを有効にすると高設定で平均45fpsだったのです。が、反射や陰影を多く処理しようとするとパフォーマンスは低下します。これについてはおそらくメモリ不足が原因の1つだと思われます。しかし、混雑した路上のフィールドでDLSSを高めに設定すると60fpsまでいけました。 Zephyrus G14では、PCを再起動せずにGPUの代わりにAMDの独自グラフィックスで処理するように切り替えることもできます。これにより、ゲーム以外の作業を行なうときにノイズを大幅に軽減できるのです。 こうしたパフォーマンス性能は、最新のゲームタイトルと最高の設定でプレイするための最低基準の期待をなんとか満たしてくれる、といった感じです。RTX 4060搭載でメモリ16GBでは特にゲームおいてすべてを満たせるわけでないといえるでしょう。 繰り返しになりますし、これを言うのはいささか心苦しいですが、RTX 4070とメモリ32GBのバージョンを購入したほうがいいと思います。